土方のエッチな動画があったらいいなと思った。そしたらそれをオカズにして自家発電が出来る。土方の身体に負担をかけずに性欲を発散できる。AVなんかで知らない女の裸を見るよりずっとムラムラできる。
……まぁ、肝心の土方がOKしてくれるなんて、考えちゃあいなかったんだけれども。
「待たせてんじゃねェ。さっさとスイッチ入れろよ。……土方十四郎。年は27。職業警察官。趣味は映画鑑賞。好きなのはマヨネーズと煙草、それから万事屋の坂田銀時とセックスすること」
「ま、待って!? あの、も、もう一回お願いしますっ」
「チッ……めんどくせぇな。真選組副長土方十四郎27歳。好きなのはマヨネーズ、煙草、テメェとするセックス」
「え、っと……土方くんって俺とセックスするの好きなの……?」
「好きじゃなきゃヤらねぇよ。なぁ、これっていつ脱ぐんだ? もう脱ぐのか」
いつ脱ぐんだろう。まだ早い気がする。普通は「どうしてAVに出ようと思ったの?」(俺が頼んだから)、「彼氏いるの?」(彼氏は俺だ)、「初めてのエッチはいつ?」(俺が初めての相手だった。あの時は紳士ぶって優しい彼氏を演じたけどホントはめちゃくちゃ興奮したし欲情してた)、とか聞くのが定番だろう。
……一応ね? 一応聞いてみようかな。
「土方くんの初体験はいつ?」
「……んなもん知ってンだろ。去年の……な、夏頃だったか……」
「……うん。じゃ、じゃあ経験人数は?」
「……一人だ。テメェだけに決まってんだろ」
「そ、そうなんだ……うん、嬉しいよ」
「俺ばっかり恥ずいじゃねーか。テメェにも聞いてやる」
「え、逆バージョン? そういうのアリなの?」
「自己紹介しろ」
「えー……と、坂田銀時です、万事屋やってます。年は20代ってことで勘弁してください。好物は甘いもの。イチゴ牛乳とチョコレートパフェと団子」
「マヨネーズは好きか?」
「ふ、普通……? かけすぎないくらいが良いなァ」
「俺とのセックスは?」
「めちゃくちゃ好きです! 真っ赤になってる土方くんが可愛いし、エッチな声でアンアン言ってるところとか、すっげェ好き」
「……そ、そうか…」
「……そろそろ脱ごっか? ……あ、ゆっくり脱いでね。さっさと脱がないで、俺に見せつける感じで」
「わ、分かった……うまく出来なくても笑うなよ」
そろそろと土方が着物の帯を緩めて、床に落とす。綺麗な肩が露わになる。滑らかな鎖骨のライン、傷一つない背中、ちょうど良く鍛えられた腹筋、冬だから日に焼けてない、陶磁器みたいな色の肌。とっておきの可愛い乳首。
「きれいだね」
「んなこと思ってるのはテメェだけだ」
「そうか……? 俺が俺じゃなくなっても、土方を抱きたいって思うんじゃねェかな」
「意味分かんねェよ。また記憶喪失になんかなったら承知しねぇからな……ガキども困らせんじゃねーぞ」
「…うん。ほら、着流し貸して。そのままだと皺になっちゃうから」
上半身から爪先まで露わになった土方は凄くいやらしかった。まだ反応していない柔らかそうな乳首に触ってあげたいと思った。でもまだ我慢。あと、もう少し。
「膝立ちになって。そう……」
心の中では欲情しまくってるけど、あくまで冷静な顔をして土方に指示を出し続ける。
「じゃあ、パンツ脱がないで上から触ってみて?」
「さ、触るって。何を……」
「分かってるでしょ? 子供じゃないんだから」
「……分かってる、けど」
「じゃあほら、いい子だからやってみて? ちゃあんと映してあげるから安心してね」
カメラを掲げてみせれば、土方が恥ずかしいのか俯いて手のひらで下着をさすり始める。ちょうどペニスのあるあたりをダイレクトに。ぐいって勢いよく押して、コシコシさすると、土方のがゆるく勃起し始める。形が浮き出たようなラインを指で上下になぞる。顔が真っ赤で、すごく気持ちよさそうな表情をしている。そのまま土方は下着の中に手を入れようとした。
「だめ」
「……ぁ、ぅ」
「もうちょっとだけそのままエッチな遊びしような」
「……んぅ」
途中で止められた土方は不機嫌そうだったけど、それすら可愛いくて仕方ない。思いつくまま、エッチな指示を出す。
「上からさすってみて。先っぽ撫でて」
「手はパンツの中に入れないでオナニーするんだよ。勃起しまくりのチンコ、こっからでも分かるくらい濡れてるぜ」
「お尻の穴、上からいじってもいいよ」
「チンコとお尻の間のとこ分かる?いつも舐めてあげてるでしょ? 触ってみよっか」
「イきそうなんだろ? 出すときはパンツの中でね」
土方の息がはっ、はっ、と浅く上がっていく。ぴったりとしたボクサーパンツは土方のペニスの形をくっきり浮かび上がらせている。体格からしたら標準的な大きさだろう、普通のペニス。でも本当は知っている。土方はオナニーのとき、ナカを弄りながらするのが大好きなこと。今すぐそれをしたいこと。でも許してやらない。だってそっちの方が楽しいから。
「万事屋、おれ、風呂、はいったのにぃ……」
「はは、ンなの分かってたことだろ? それにどうせまた汚れちまうんだから気にすんな。あとで洗濯してあげるよ?」
「んっ……んっ、んん…っ……はぁっ、ンッ…」
自慰に浸って聞こえてないのかもしれない。下着の上から袋を揉み込んで、ペニスの先っぽをぐりぐり押して、土方は先走りで濡れきった下着を履いて腰をもじもじさせている。膝立ちになってそれを続けていたけど、やがて手のひらが後ろへと回る。蟻の門渡りを指でゆっくり優しく撫でると、びくびくと反応した。もっと触って。指示を出すと震えそうになってる指を小刻みに動かし、ああぅう、あんあんってエッチな声を上げた。
土方が尻を揉んで、俺がいつもそうしてあげるように窄まりの襞に指を引っかける。でもうまくはいかない。下着が邪魔するから。土方が泣きそうな顔をしながら指で下着越しにアナルを弄る。焦らしてばっかりいるのがかわいそうになってきた。確かにSなんだけど土方には弱いんだよなぁ、なんて思いつつ言う。
「土方、ちゃんとイけたら後ろに俺の挿れてあげるよ。だからがんばって」
「ぁ、ぎん……分かった……」
「えらいねぇ。土方くんはいい子だね」
「ガキ扱い……すんじゃ……ね……はあっ、あっ、あ」
下着の染みがジワジワ濃くなった。それを眺めながら、可愛いなと思う。年も大して変わらない、筋肉のついた身体の男だけど、可愛い。こんな風に土方を見ているのはきっと今だけは俺しかいない。そうじゃなきゃ困る。嫉妬で死にそうになる。むしろ名前もしらない奴だろうと殺したくなるよ。こんなに惚れてる好きな子が、誰か他の奴のものになんてなったら。
「よろずや……ぎんとき、ぁっ、あっ!」
あぁ、かわいいな、土方。パンツの上からチンコいじってイっちゃいそうなんだ。本当は後ろがいいのにかわいそうだな。でもすごくかわいい。
「ぎんときイく、イく、イくぅ……」
土方が言う。目を伏せて、顔を真っ赤にして、ハァハァえっちな吐息で、必死でペニスをこすっている。先っぽのピンク色がパンツからちょっとはみ出てる。
「だめだろ、ちゃんとカメラ見なきゃ。土方くんこっち向いて」
「見たら、イっていい? イく、ぎんとき、イっちゃ……」
「いいよ。そう、こっち見てザーメンぶち撒けてイっていいよ。パンツの中、やらしい汁でぐちょぐちょにしてイってみて。ほら、もっと弄っていいよ、ぐりぐりって」
「あっ、あっ、ああっ……!」
土方の身体が、がくんと布団に落ちる。それをじっと見つめる。俺のはエロくて可愛い恋人のオナニーでガチガチに勃起している。なのにすぐ触れたいと思わないのは、きっともっと見ていたいから。オカズにしたいとかそんなんじゃなくて、土方のオナニーがどんなものか、ずっと見ていたいから。考えてみればこれって初めてのオナニーの観察なんだね、データに残っちゃって、いい記念になったね、土方くん。土方くん可愛い。
「銀時っ、触れ、さわって、はやく、はやくぅ……」
むずがる土方が達した股間をこすりあわせて、涙で潤んだ目でこちらを睨んでくる。ぞくぞくと湧きあがる嗜虐願望にも似た快感に、どうしようもなくなる。
カメラを放り出し、布団に乗り上げる。土方に覆い被さって、精液と先走り汁でぐずぐずに重くなった土方のパンツを引きずり下ろした。足からも抜いて、土方を裸にする。取り出したチンコで窄まりの縁を何度も何度もこする。そして緩んだそこに先っぽを当てがってとんとん、と叩くようにした。
「あっ、熱い、あつい、銀時、もう挿れろ、挿れて、もうだめ、だめだ、だめ……」
「土方くんお尻やわらかくなってる、する前にお風呂でほぐしてきたの?」
「ちが、それは」
「それは?」
「風呂で、……今日、銀時とするって分かってたから」
奪うようにキスする。そんなにかわいいこと言われたら、こっちも馬鹿になりそうだ。元から頭なんて良かねェけど、土方に依存してもっと馬鹿になりそうだ。土方の人生は真選組が中心だ。俺はそれを知っている。知ってて支えたいと思っている。俺の人生だって土方だけが大切だと言いきることなんてできないけど、恋だけは。恋愛の特別は土方だけだから。土方もそうだろうか。情人は俺だけで、今だけ、今だけでも二人でセックスしたいって思ってくれているんだろうか。
「……俺とするって分かってたからほぐしてくれたんだ? かわいい。ほら、ぷっくりしてる乳首いじってみて、指でくりくり転がすとすっごい気持ちいいよ。これから俺のチンポ、土方のケツマンコにいれてあげるからね、すっごく気持ちよくなるからね」
「うん、うん……ぁ、乳首、こりこり…、気持ちい……ぁっ、ぁァ…はいってくる…嬉し、ぎんときの……ぁあ、ぁん、ぎんとき…ッ」
ずる、ずる、とペニスがはいってゆく。切れ切れに喘ぎがこぼれる。それを聞きながら土方の腰を掴んで動かし、ビデオカメラに向かって背面座位の形を取る。土方のナカがきゅうっと締めつけた。容赦なく腰を振りながら指示する。
「ほら、カメラの丸いとこ見て、ね、土方、土方のエッチなとこ映ってるよ」
「や、も、やめて……も、もう、いや、だめ……っ」
「だぁめ、土方も乗り気だったじゃん」
「だってイく、もうイっちゃ、女みてぇにチンコいれられてイくとこ、見られたくない……ッ」
「大丈夫、見るのは俺だけだよ、土方のエッチなとこ、見るのは俺だけだからね? ほら、ちゅーしよ……?」
もう一度キスで反論を封じて、カメラに向かって微笑った。汗の匂いがする。土方はどんな風に映ってるんだろう。そして土方を支配する俺自身はどんな風に映ってるんだろう。足を支えながら出来る限り大きく腰を動かして、前立腺を強く圧迫するように責め立てる。
「土方……っ、ひじかた…!」
「ぎんとき……! ひィっ! イく、イく、イくうっ……!」
がくがくと身体が揺れて、土方がびゅくびゅく射精する。俺もワンテンポ遅れて、土方のナカをぐるぐるかき回してから精液をぶちまける。寝室の布団はぐちゃぐちゃだった。二人とも、馬鹿みたいにぐちゃぐちゃだった。体を極限までくっつけて、髪型なんて言うまでもなくぐちゃぐちゃだった。
もし普段、道でばったり合った時の俺達が見たら、お互いに笑って馬鹿にしあうような有り様だ。でも、それ以上に幸せだった。
⇄ ⇄ ⇄
まだ少し体に熱が残ってるけど、ビデオカメラのデータをチェックしていた。うんうん、綺麗に撮れてるな。土方くんは色っぽくてエロいし可愛い。あとで機械にデータを移して編集でもすれば完璧だろう。編集できたら、あとはビデオカメラのデータを消すだけ。の、はずだった。
「なぁ、俺にはくれねぇのか?」
寝転がってた土方がそう言い出すまでは。
「……え? 土方くんも欲しいの?」
「だって俺を抱いてるお前が見れるんだぜ? 面白いじゃねェか。のらりくらりしてるテメェが俺相手に必死になってハァハァ言って腰振ってるとこ見れるなんざ、最高だ」
土方が近づいたぶん、二人の距離が縮まる。唇が近づく。そして静かに重なる。
「……俺もテメェとのセックスをオカズにしたいってことだよ」
分からねェのか? 男なら分かんだろ。
皮肉げに笑って、土方がカメラを取り上げる。いつもならエッチしたあとのピロートークで、そろそろ眠くなる頃だったけど、こんなんじゃ今日は眠れそうにねェな。
「今度は俺がしっかり撮ってやるよ。お前のやらしい顔」
そう言って二度目の閨に誘われて、上乗りになられて、予想もしなかった事態にあたふたした。でもそれが土方だ。予想もしてなかった行動をするのが土方だと、俺はとっくの前からしっている。そんなところも含めて、俺は土方に惚れたんだ。
「二回目だからってへばるなよ。気張っていけや、白夜叉殿」
俺のとはまた違う、土方主導の優しくて気持ちいいキスが始まる。ビデオカメラは土方の手中。キスが終われば、レンズは俺の顔へと向けられる。
「始めようぜ。まどろっこしいインタビューは無しだ。本番一発撮りで」
自信たっぷりに笑う土方は男前で、それから、ちゃんとへばらないでいられるかな、なんて、馬鹿みたいに幸せなことを考えた。