ふわり、と。真白い照明に眩む視界が遮られ、土方は心地よい温もりに包まれた。一瞬遅れてから、抱きしめられているのだと理解する。
「……よ、ろず、や?」
「そ。銀さんだよ、土方くん」
「! は、離せ、汚れる……ッ」
自分の身体は我慢汁やら男達の唾液やらローションやらに塗れ、惚れた相手に委ねられるものではない。
男の白い一張羅を汚してしまいたくなくて、抱きしめられた腕の中で必死に腕を突っ張った。
「いいから黙ってろ。もう気が気じゃなかったんだからな。罰としてお前、抵抗すんの禁止だから」
「ぐ……。なんでテメェここにいるんだよ、まだ時間じゃないだろ。! ……それに、奴等は……撮影はどうなるんだ!」
「大丈夫だから落ち着け。…これはパチモン企画で、情報を嗅ぎ付けて良からぬ事を考えた一部の大人がこんなセットまで準備したらしいぜ。今朝起きたらスポンサーの置き手紙が万事屋にあってよ。注意しろって……屯所行って沖田くんに聞いたら、朝から出かけてるって言われたから……!」
「……そんな、」
「ごめんな。来るのが遅くなって」
こんな時だからだろうか。優しい男は、土方の事を嘲笑しなかった。
碌に顔さえ覚えていない支配者達に『来ない』と一笑に伏されながらも万事屋、万事屋と希った事を思い出す。来ないのは解っていても、口にせずにはいられなかった事を。
「て、テメェが謝る事じゃねえ、俺が迂闊だったんだ。……変なモン、見せてすまねェ」
回された腕を今度こそ緩く押しやり、土方は銀時の拘束から抜け出す。
組から依頼でもされたのだろうが、本当はこんなところになんて来たくなかっただろう。それに、浅ましいところを見られた。軽蔑されていても文句は言えない。
「バカヤロー、誰がそんな事言った! …思うわけねえだろうが。マジで焦ったっつの……ごめんな、遅くなって」
「っ、謝る事じゃねぇって言ってんだろ」
「はーぁ……ったく土方、オメーあんな変態どもに、こんなエロっちいもん見せてんじゃねーよ」
「え、えろって、俺は別にそんな」
男の石榴の瞳が叱るような色で土方を見据える。だから土方は、見せたくてそうしていたわけじゃない事、本当に撮影だと思っていた事を必死に弁明した。
銀時を煩わせなくて済むのならと、はしたない格好をさせられても必死に耐えたのだ。……敢えなく、みっともない嬌声を上げてしまったけれど。
「野郎が野郎共に良い様にされるところなんて見たくなかっただろうし、俺は……ッ?」
お前を煩わせた事に変わりねェ、悪かった。続く筈のセリフは口に出せなかった。銀時の瞳は未だ怒っているようだったが、もう一度ぎゅうと抱きしめられて、「……俺の為? 俺の為にしちゃったの?」と聞き返された。意図が掴めないまま土方が小さく首肯すると、ハァァ、と再度大きな溜め息を吐き出した。
「お前バカだろ、怒るのもアレだっつの……うん、お前バカだ。俺の為に、あんな糞野郎共にスケベな事されても我慢してたってナニ、ほんとストレートすぎるわ……素直なんだか意地っ張りなんだか分かんねーよ、ほんと俺をどうしたいわけ」
立て板に水の勢いで文句を垂れた後に、笑った。仕方ねぇなぁという、例えるならコイツの身内に向けるような温もりの、優しい笑みで。
男のそんな表情を見たのは初めてだった。消し去った筈の感情が性懲りもなく芽吹く。
「よ、万事屋……?」
「ったく、乳首もチンコもトロトロにしやがって…ほんとしょうがねぇな土方くんよぉ」
「ふ、ああ…っ!」
するりと背筋を撫ぜられて、腰に蟠った熱が騒めく。
「ナニ。これくらいでゾクゾクしちゃうの?」
「し、しねぇよっ! 離せよろずや……!」
「ダーメだっつの、怪我してねぇか銀さんが見てやるよ」
甘やかすような声音を耳元に流し込まれ、心拍数が上がる。あれ程抵抗しようとしていた気性が、キュッと握られた手の中で溶けていくようだ。
土方の反応を感じ取った銀時は、穏やかな瞳と表情のまま土方の目元にキスをした。
「んっ……」
「アイツら酷ェな。真っ赤になっちまってるよ。可哀想になぁ」
「んあ、あぁ…っ」
スリ、スリと乳首を労わるような手つきで撫でられ、ゾクゾク肌が粟立った。
「おっぱい痛いの?」などとふざけた口調で尋ねられたからかぶりを振って否定する。銀時は安心させるように頬に軽いキスを落とした。
「大丈夫だから感じとけ、土方……もっとちゃんと気持ちよくしてやるよ、ほら」
「ひんっ……んああぁ」
乳輪を何度か撫で回してから、ピンと尖り勃った乳首を優しく摘まれてクリクリされては……堪らない。言われるまま男達に強請ったにも関わらず、絶頂を迎えられなかった土方のペニスがズクズクと疼く。
クス、と笑う気配がして、ぷっくり勃起した乳首を転がされた。揶揄うように乳頭をツンツンとノックされて腰を捩る。
「コラ、逃げんなよ、ってな」
「ああっあァん……!」
土方が逃げられないように胡座をかいた膝の上に乗せると、銀時は粒勃ちする乳首を、指の腹で何度も嬲り回して苛めた。
土方は戸惑う。男達にされた時は気色悪くて仕方がなかったのに、銀時の手がそこに触れると、何故こんなにも違うのか。鼻先を甘い香りが掠めるだけで、身体が熱を持つ。意地悪をされて、乳首がコリコリにしこる。銀時には土方の恥ずかしい変化が分かったのか、また微かに笑う声が聞こえた。ピン、ピン、と指先で往復され、土方は吐息を零し身悶える。
「えっろ……土方、チンコは? 平気か?」
「んんぅ、ムジュムジュする……っ」
「ムズムズするんだ? …カリカリしてやろうか?」
「はぁぁん…っ! ひっ…んくぅ…んんんっ!」
ひくんひくんと震えて涙を零す土方のそこに、しかし銀時は強い性感を与えてくれない。根元から先端に向かって、浮いた裏筋と血管を何度も擽るようになぞったり、軽く引っ掻くだけだ。ヌルヌルの幹を爪先で上下に。擽ったくて恥ずかしくて、切ない甘さが波のようにせり上がる。
「やめ、よろ、銀、それ……ぇ」
「隠すなよ…先走りまくりの多串くん?」
「おおぐし、じゃねぇ…!」
「じゃあ土方のチンコか。白いネトネトのヨダレたらしてる、だらしなァい土方のチンコ」
「ッだらしね……のはテメェの頭、んはあぁ、ひぃっ!」
「あー、そういう事言っちゃうんだ。ちんこの先っぽグリグリの刑だなぁ」
「ひぃぅうぅ…! いたぃっよろずや、ぁああッ!」
『白いネトネトのヨダレ』が溢れる割れ目を指先が丸く撫でたかと思うと、硬い爪がその敏感な赤い粘膜を引っ掻いた。力任せではないが絶妙に痛みを与えてくる仕置きに、土方は眦に涙を浮かべて訴える。
「銀時って、俺のコト名前で呼んだらやめてやるけど」
それは意外な交渉案だった。しかし、先程こそ何かの勢みで口にしてしまったが、これまでに万事屋稼業の男を名前で呼んだ事など数えるまでもなく無に等しい。
そもそも自分なんぞに名を呼ばれて、男は嬉しいのか。考えるまでもない。可能性は無に等しいだろう。
「あァァん!」
思考を巡らせている内にも、土方の先端は苛められてしまう。
小指が細い尿道の浅いところをツプツプと行き来して、媚薬の所為かその度にビリビリとした痛みとも疼きとも判断のつかぬ感覚を走らせた。
「何だよお前、ドMちゃんか? ……小っさい孔から汁漏らしまくって。……いくらでも苛めてやるけど、今は名前だな。ほら、言ってみ」
「誰がMだ! ひくぅん……ッ!」
「ほら、名前。ちんこの先っぽ指で潰されてぇのか?」
「うぁッ……やああ、ぎん、ぎんときぃ」
「…なーに、土方くん?」
「ひううっ…」
温かい吐息を先端に感じた後、ぬるついた銀時の舌が睾丸をキャンディーのようにクルクルと撫で回した。
ピクンと浮いた腰は、震えながら銀時の愛撫を受け入れる。鼻から抜けるような吐息を零してしまうのが恥ずかしい。
袋から離れた舌に安堵したのも束の間、赤く熟れたキノコ傘にチュゥチュゥと音を立てて吸い付かれては辛抱堪らない。
「もう勘弁してくれ」。ひくんひくんと悶えながら許しを乞う土方に銀時は嗜虐心と愛おしさが込み上げた。
もっと可愛いがってやるために、樹液でしとどに濡れたガチガチの幹へと舌を移動させる。
「っ、だめッだめぇ! よろ、銀…ッ…ふぅぅ……ん」
とろけた顔で譫言のようにだめを口にされても、聞いてやる気などない。
土方の、腹に付きそうなくらい反り返った勃起を、はむ、と唇で柔らかく食んだり、咥え込んでストロークすると、甘い快楽に酔った吐息交じりの声を零す。
敏感な尿道口をピチュピチュピチュッと音を立てて小刻みに舐める。 『グリグリの刑』に処されたばかりの赤い鈴口を優しく慰められ、刺激に土方の腰が痙攣し始めて。
「ヒグッ?! あ、ア、ア…アアアアァ!」
喉奥まで迎え入れてバキュームすると、びくびく腰を震わせながら逐情した。
「ン……銀さんのフェラテクでイッちゃった?」
「ん、るせ、イッてねぇよぉ…」
「……あー、そう」
ならコッチでイかせてやんないとな。
口角を上げた銀時がニヤリと笑って宣言すると、ふにゃりととろけた土方の顔がしまったと歪んだけれど、次の瞬間には鋭い目線が応対した。熱にふやけてはいるものの、強気な瞳だ。
銀時は煽られるままに、土方自身の更に奥、蟻の戸渡りを通り越した先にある窄まりに指で触れた。ピクンと身体を震わせる土方の反応一つすらもいじらしく思えて、そんな自分に内心驚いた。しかし、屯所に向かって走った時も同じような気持ちだった。焦がれてやまない衝動の正体は、きっと。
「土方ぁ」
「…ん、だよ」
「……何でもねえ」
「はあ? 変な奴だな、っん! つーか、そこ触るな、汚ねぇから!」
「別に汚くねーよ。ンな事よりアレだ、ここにあるやつローションだろ」
「……ああ」
「開封済みだしよォ、……その、最後まで」
「されてねーよ!」
「『まだ』だろうが」
「それは……っ」
「あー、そんな顔しなくていいっつの。……ただ、そうだな」
どうやって弄られたのか教えろや。
拒否は許されないトーンで微笑まれ、土方は嫌な予感しかしない。
***
「はーい、じゃあ、お尻に入れられた指は何本?」
「に、二本……だよ」
「へーえ。どこ触られたの?」
「わかんね、なんか、妙なところばっかぐりぐりされて」
「気持ち良かったんだ」
「気分は最悪だ!」
「あー、分かってるっつの。俺の方がよっぽど気持ち良くしてやれるしぃ」
言いながら指にローションを纏わり付かせると、土方の表情が驚愕のそ
に変わる。
「は、はあ……?! いらねーよ、そんなんしなくていいっ」
「ダメ。調べてやるって言っただろ」
先刻と同じ理由を述べて、銀時は人差し指を熟れた蕾に浸入させた。
指を入れた瞬間にキュウキュウ食い締めてくる尻穴に、アア、と声を上げて泣きそうな顔で足を閉じようとする土方。下肢に熱が溜る。知らず息が荒くなるのが分かった。
「土方、大丈夫だから……っ。お前のナカが分かんねぇだろ? 足開いて、力抜け。くぱぁってすんだよ。銀さんの指こんなに締め付けちゃダメ」
「い、嫌だ……ッ! テメェにされんの、そんなん、情けねぇから、抜いて……」
「情けねぇなんて思ってねぇよ。寝こけてて気づかなかった俺の方が情けねぇや。……好きな奴なら、尚更な」
「………!」
突然の吐露に、春一番でも吹いたような驚きが土方を襲う。力が弛んだのか、ズプププ! と長い節立った指がピンクの蕾深くまで入った。土方は背を仰け反らせて慌てたが、銀時が甘い笑みを見せるから、這いずるような動きの指が柔らかい奥を突いても、健気にヒグッと息を呑んで堪えた。
しかし、内腿の付け根が痙攣したのを知られてしまい、続けざまに虐められる。
「や、ひぃっ! んっんっああァ…!」
「ん、くぱぁしてて偉いね、土方くん。ほら、もっと早くしてやる……、お、感じてるな。声ガマンしなくていいぜ。柔らかくなった? 俺の指痛くねェ?」
「い、たくな……ヒッ、突かない、れぇ……っアァ、ひぅ!」
犬猿の仲である自分を、起き抜けの状態で助けようとした。住処を尋ね、不埒を追い払い、女と違って腕の中に収まらない身体を、強く抱きしめてくれた。
存外情のある男だから、自分相手でも掛け値なしの思いを向けてくるのだろう。
憎まれ口を叩いても優しい男だから、浅ましい汁で濡れた性器でも嘲る事をしないのだ。
そんな彼を汚したくないと、土方はずっとそう思っていたのだけれど。
泣き濡れた瞳で何も言えないまま目の前の顔を見つめ返すと、銀時は吃りも否定もせずに、ただ照れ臭そうに笑ってみせたから。もしかしたら、自惚れても良いのかもしれないと、そう思ってしまう。
「……すきだ」
「土方……?」
「すき、すきだ、万事屋……ッ」
「! ……へへ、銀時だって言っただろうが。…十四郎」
***
白い部屋と照明の中でも浮き立つような均整の取れた身体が、高陽し桃色に染まる頃。土方はいやらしくも可愛いらしい善がり声を我慢する術なく、銀時しか居ない部屋中へ切なく甘く響かせていた。
対面座位でまぐわう銀時の熱いものが、ローションと腸液でひたひたの柔らかいアナルへ忙しなく出入りした。その剛直は発情しきったまま前立腺を容赦なく抉り、体内を満たした。
(すごい。おっきい。熱い。銀時……)
想いの通じ合った銀時だからこそ、幸福感が奔流のように押し寄せる。土方は悦ぶように熟れた肉壁を戦慄かせ、未だ最奥を埋め尽くす相手の欲望を最後の一滴まで搾り取るように、きゅんきゅん食い締めた。
「ふっ……土方、締まってるから、緩めてッ」
「ふぁ……? や、無理ぃ、勝手に、食べちまうぅ……」
「……くっそ、反抗期かぁ? 膨らんだコ・レ、ズコズコされてぇのかな、土方くんは」
「ふ、ぁ?! やっやらぁ…ぁああッ! うぁ、うっ、くぅん……っ、そこダメ、やめぇ、銀時…っ…」
「はッ……何が、ダメっ?」
「ひぐぅ…っ! お前のちんぽ、中んトコ擦ってる、からァ!」
感じるところを全部押し拡げられるようだ。ズクンズクンと入り口から奥まで圧し揉まれると銀時のペニスが硬くて太くて、辛抱堪らない。涙を流して腰をよじり、凶悪なペニスから逃れようとする。
「ハハ、駄目だろ。土方くんはお尻の中までちゃーんと気持ちよくならないと、な! ほら、グショグショになってきたぜ? やぁらかくて気持ちー…」
「んぃぃ、らめ、ひもちぃの、らめェ……」
「ダメじゃねぇから。お前んナカ狭くて……コリコリ当たって気持ちいいね?」
「んあ、コリコリ……ぃ?」
土方の腰を易々と捕らえ、腹側の凝りをクン、と突く。軽くノックすると、土方の身体から抵抗が抜けていく。銀時は獲物が泣いて逃げ出さぬよう、殊更に甘く囁いた。
「そうそう。もっとゴシゴシしていい?……ふッ…こーやって、さ! お前の前立腺ゴシゴシ、ぐりぐりっ……!」
「あっ……んっんっ、して、ぐりぐりして! …んゃァああ?! らめぇ、もうソレらめぇぇ!」
やはり土方には、ソコが敏感なしこりだとバレてしまった。だがもう遅い。熟れた前立腺はそこだけ淫らに勃起し、銀時のペニスの亀頭がズリズリと撫でくり回す。閉じられない口から涎を垂らし、欲情滴る土方自身がビクビク震えた。
「何だよ、シてシて~っておねだりしてきたの土方だろ? タマもプリプリにして……出したいか?土方……大好き。…お? キュッて締まった。嬉しい? ……両想いとかさ、夢みてぇ、土方…」
「んん、俺も……は…ンン…、…ッ、…チュ……、ふ…ぅ………銀…」
相手からの口付けに応えるよう自らも舌を差し出し相手のと絡め深く合わせながら体内に受け入れた。
……これが、銀時との初めてのキスだ。
熱い怒張を少しでも悦くしてやろうと土方はまだ不慣れな内壁でもって、銀時を扱く様に尻を上下させズポズポと出し入れさせる。
「ハッ……ん、たまんね…」
「…ん、あ…ぁぁっ……は、ぁ……ん」
興奮の勢いで押し倒され、足を開かされた正常体位に変わる。早まった律動に合わせて土方の自身もふるんふるんと揺れた。視界に入ると気恥ずかしく、土方は隠すように手で覆う。銀時にあっさり見咎められてしまったけれど。
「隠すなよ。汁垂れ垂れのやらしい汁ダクちんこ、見せろ」
「や、いやだぁ…触るな、っ! そんなんしたら、またッ」
「へぇ、そんなって、ナニ?」
「んん、ァああ……、…奥、に当たって…っ…は、……お前の、太い、固い……ぃっン」
「ッたまんね……ここ、俺専用にしていいだろ? 他の奴になんか触らせんなよ。な?」
銀時は興奮に上擦る声を抑えようともせず、土方の上で腰を振り、前立腺を掠める様にして屹立を当て続ける。 剥き出しの弱点を熱いもので抉られる。痺れるような快感に土方は下腹がきゅんきゅん疼いた。熱に飲まれてしまいそうな不安とは裏腹に、熟れた肉壁はヒクヒクと貪るように銀時のペニスに吸い付く。引き抜かれる寸前まで往生悪く纏わりつき、ジュポン!と音を立てて再び押し挿ってくる銀時を嬉しそうにしゃぶるのだ。
そんな自分の浅ましい反応が恥ずかしいけれど、銀時は呆れたりせず、それどころか土方に軽くキスをする。膨れたシコリを幹で熱く摩擦しながら。
「んあ…んくっ、ぎん…ヒグゥ?!」
「土方っ、俺も出そ…」
土方の腰が震えるのを感じたのか、銀時はそこを何度もノッキングした。
「あああァっ、そんな、やぁ! 俺、すぐ、イッちまう……!」
いや、だめ、銀時、と何度も繰り返したが、許してくれなくて。ピストンが早まり、戯れるように奥までぐぽぐぽジュポジュポと犯され、土方は絶頂を迎える。
「泣くな、ほら、イッていい、ぜ!」
「ン…ア、あぁ…っ……も、イクイクッ…いっく…ぅ…う、!!」
呻きと同時、最奥に勢いの良い精子を注がれて。
震えながら尻を浮かせて感じ入り、ピンと勃った乳首を見せるような体勢で、土方も自身のペニスからミルク色の淫液を迸らせた。快感にとろけた雌のような姿を曝けだしている。
ズルリと銀時がペニスを荒く抜き取ろうとすれば、蕾をぐちゅぐちゅと開かせそこからどくどくと大量の白濁を溢れさせた。
「中出ししちまったな……ずこずこされて痛くなかった? 平気?」
「……ん、んぁ、ぎん…気持ち……」
するりと重ねられる身体に、裸の胸や手足が触れ合う。嫌悪感は無いけれど、もしかすると銀時は、こんな欲情に塗れた体勢は厭うだろうか。
はしたない嬌声を上げたのが冷静になった今、途轍もなく恥ずかしい。乳首もだ。銀時は淡い色をしているけれど、自分のは乳輪までぽってりと赤く色づいて、ピンと尖り勃っている。銀時は気づいていないといいのだけれど。
身動ぎ、シーツで己の肢体を隠そうとする意図は、銀時にすぐ見抜かれてしまった。
「悪ぃ。乳首弄ってなかったな、イく時」
「……っ」
「前立腺しながら乳首摘んだら、土方くんが感じすぎてヒンヒン泣いちゃうからやめといて正解か?」
「な、泣かねーよ」
「じゃあ今すぐ俯せになって、腰高く上げてみる? 銀さんの方にイきたてのケツマン向けようか? お腹側のシコリも乳首も弄りやすくしてさ」
「! え、や、それは……」
「ずーっと腰上げてるんだよ? 俺のチンコで、ヌルヌルの前立腺マッサージされながら。乳首ピンピン弾かれても、摘んでくりくりされても動いちゃダメ。お前が感じちゃうよぉ気持ちい銀時ぃってアンアン泣きながらイくまで止めてやんない」
「……っ」
「じっくり想像して。頑張れるならおねだりしてみろよ」
「うう、…お、俺の……ココ、太いのでハメてくれ、」
「お前のあったかいとこにハメハメして? それで終わり?」
「っや、ハメたら……奥、まで、前立腺も、マッサージしてくれ」
ずぽずぽして、銀時。
羞恥を脱ぎ捨てて告げた土方は、程なくして快楽に咽いだ。
「アアア、ヒィ! 気持ちいっ、もう気持ちいい……ッんあぁ」
「気持ちいならもっといって?」
言われるがままの体勢を取って、泣きドコロを弄られる。
それは文字面だけなら男達にされた行為と変わらない。だが、好いた相手の温もりを、匂いを、息遣いを、すぐ傍で感じられる行為は、恥ずかしいけれど、屈辱ではないのだ。
相手の体温を直に感じただけ感度の高まる身体に、土方は少し恐怖感を覚える。それでも、もっと乱されてしまいたいという欲求で肉裂がひくひくと潤む。銀時の大切な部分へと吸い付き、舐めるように纏わりつくのが自分でも分かるから。
「……っ、よろずや」
「…ナニ?」
「あ、…ぎんとき」
土方は肩越しに振り返るとキスを強請った。驚いた様子で此方を見つめ返す銀時に、拒絶されるかもしれないと苦い思いが込み上げる。
だが、すぐに突き動かす激しさとは裏腹の優しく包むような口付けをされた。後ろからだとし難ェな、後でもっと沢山しようかと、こんな幼い欲求すら心底嬉しいと言わんばかりの弛んだ顔で笑いかけられて、心の底から安堵するけれど。
「銀時、こ、これ以上したら壊れちまう……!」
「壊れちまうの? じゃあ壊れねーように優しくシなきゃな。ゆっくり……十四郎の乳首も前立腺も、イイ子イイ子って」
「あああっ、ひんッ……!」
銀時の指先も、熱くて硬いものも、悪さをするのに余念がない。
これは何時まで続くのだろう。ねっとりと責められて、土方の呼吸は発熱したように上がる。
身を捩っても力が入らないし、元より逃げられやしないのだ。
「いやっ、ああ! っ…イイ子じゃねぇよ」
「ヘェ。じゃあ十四郎の身体は悪い子なんだ」
真っ赤でヌルヌルでぷっくり膨らませてる悪い子。下心たっぷりの蜜を差し向けられて、十四郎はクスリと笑みを浮かべた。
「……ああ。もっと仕置きしてくれよ、俺の……ァアア!」
逃げられやしない。
……十四郎が逃げないのだから、当たり前だ。
触れられなかったペニスがぴゅくんと放出するのを感じながら、十四郎は銀時に身を委ねる。
屯所に帰り着くのは、とっくに日も落ちてからになるだろうなと、快楽と涙で霞む視界で考えた。