好きバレするマイクロフォン! - 1/2

 ────こんなクソったれな世界、俺様がぶっ潰してやる。左馬刻がそう言うのを、チームメンバーである俺はもちろん隣で聞いていた。ああそうだな、俺も同意見だよ。その為のMTCだ。俺は左馬刻について行くと決めている。
 それでも例えばこのクソったれな世界が戦争などしていなければ、なんて考えてしまうことも時々ある。所詮は有り得ない空想だけれど、もしそうなら、武力廃止されることはなかった。
そうなると、H歴の幕開けはなくなるな。理鶯の所属していた軍が解体されることもなく、ヒプノシスマイクなんてもの自体が政府に齎されることもなく、この世に存在していなかっただろう。
 そういう世界に生きていたとしたら、俺はあの男、碧棺左馬刻と出会うこともなかったかもしれない。出会っていたとしても、今になって偶然にも再会してからこうしてチームを組んで、ヤクザなんて関係なく気が合って好きだから普段も連んでいる────なんてことには、ならなかっただろう。
 俺の担当が火貂組だとしても、せいぜいマル暴のサツと監視対象である組のヤクザ、というだけの関係かもしれない。きっとプライベートで素の顔を見せることも、見られることもなかった。
 そう考えるとこんなクソったれな世界も悪いことばかりじゃないな、と皮肉にも思えてくる。どうしようもなく惚れている奴の背格好やギラギラした眼差しがふと脳裏に浮かんでは、それを掻き消したくて何もない部屋の空間を煙草で白く煙らせた。
 白、か。
 きっかけになった夜の詳細をハッキリよく覚えているわけではなかった。朝起きたら隣に左馬刻がいて、驚きすぎた俺は泡を食って、なぜか左馬刻を叩き起こした。テメ朝っぱらからキンキンうるせぇんだよ殺すぞ銃兎、とか文句を言われたっけ。今思えば本当に、俺はなんで左馬刻を叩き起こしたんだろう。
 左馬刻が寝ている隙にこっそり自分の家に帰れば良かったんだろう。だが、後の祭りだ。なんの気持ちもない相手になら冷静に対処もできただろうが、俺はその時、既に左馬刻のことを憎からず想ってしまっていたから余計に動揺した。矛先の逸らせない感情を自覚している上に、肉体関係まで持ってしまうなんて、ズブズブにも限度がほしい。
 不毛だと分かっていても、それからも何度も左馬刻と身体を重ねていた。一度ヤるのも二度ヤるのも大して変わらねぇだろ、というのが左馬刻の言い分だった。惚れた男が格好よすぎるのも良くない。格好よさに慣れる予定だったのに、未だに落ち着かないし、慣れないし、ときめいてしまう。至近距離で見つめられると俺の拒否は形だけの言葉にしかならない。俺が何を言おうが、左馬刻には全くノーダメージだ。
 自分の気持ちがバレないように隠して、気が向いた時に身体を重ねるだけの関係だった。左馬刻は「俺ばっかりガッついてるみてぇでムカつくんだよ。たまには銃兎からも誘えや」と言ったが、左馬刻からベッドに誘われるうちが華だろう。セックスの最中になれば俺も妄りがましく求めてしまうから、これ以上の醜態を見せてアイツに嫌われることは避けたかった。いつ冷めてもおかしくない熱なんだ。サツの俺に惚れてるだとか愛おしいだとか言われりゃ、左馬刻は興醒めだろう。ヤクザの若頭をやってる顔の良い男。金も度量もある。放っておく奴がいるか? いや、いない。そんな引く手数多の左馬刻様が何人イロ囲ってるもんなのか────分からねぇが、知ったら知ったで悋気を起こしてしまいそうだから聞けない。
 俺は左馬刻のイロの一人だろうし、女と並ぶなんて烏滸がましいかもしれない。『男としてぇと思ったのなんか銃兎が初めてだぜ。お前って……なんつーか、すげぇエロいんだよ。見てると堪ンなくなる』なんて、ロマンチックでもなんでもない言葉一つで浮かれてしまいこそすれ、単なる気まぐれの味見なんだろう。
 だからこれは、このまま墓場まで────きっと地獄まで持っていく恋だと決めている。ガキじゃないんだ。この気持ちをまっすぐ正面から伝えようなんて全く思わない。テリトリーバトルは勿論、DRBに支障をきたすのも分かりきっている。一緒にチームを組んでいる理鶯にも迷惑をかけるだろう。
 俺はそう考えることで、左馬刻への想いを告げないことを最良としていた。
 ただ実を言うと、左馬刻と二人きりでいるときに甘えられたり優しくされるせいで、俺が会っていいよと言えば機嫌よく笑ってくれやがるせいで、最近は、何かの弾みで告白しそうになって仕方ない。
「ずっと前から左馬刻が好きでした」と言っても左馬刻なら引かないでくれるかもしれない、それどころか左馬刻も俺を────なんて、お花畑な妄想をしてしまう。馬鹿じゃねぇのか。互いのディビジョンを懸けたテリトリーバトルのことを考えれば、好きを堰き止めるのに充分すぎる理由になった。
 29の現役警察官が年下の男、しかもヤクザの若頭に惚れました。ベッドの上では逆らえません。恥ずかしい命令にも従って、それはもうはしたない声で────なんだそれ。冗談にしても笑えねぇんだよ。そんな相手に好きだなんて、やっぱり言えるわけがない。

「………ッ!?」
 不意に鳴り響いた着信音に心臓が跳ねた。確認すれば件のご本人サマからのお呼び出しで、全くタイミングが良いんだか悪いんだか。左馬刻のこと考えてたなんてバレたら困るし、なるべく動揺を抑えないと。左馬刻と話す前に、軽く喉の調子を確かめる。……よし、今日もいつも通りだ。
『……ったく、出るの遅せぇぞ銃兎。今日は午後休だろうが』
「……なんの用だよ」
『ん? しばらく俺様に会えなくて寂しかったんじゃねぇのかと思ってなァ』
「むしろ会えなくて有難いと思ってる……ゴタ起こらずに済んだからな」
『ケッ。仕事熱心なウサ公が』
「ふふ、……そのうち、美味いコーヒーが飲みたいとは思ってるよ」
『へぇ。だったら今すぐ俺様が淹れてやっからウチ来いや』
「………そのうちって言っただろ」
『オヤスミの日に一人で寝るだけで満足できんのか? ……なぁ、ウサちゃん』
 ああクソ、声が変に震えてやしないか。他に何も雑音が聞こえないあたり、左馬刻は一人でいるんだろうか。つーか俺、休みの予定なんていつの間に話したんだろう。迂闊だったか。久しぶりなのも事実で、電話越しの左馬刻の声にすら、ピクリと反応してしまう身体が恨めしかった。
 
 
 
「この俺様を待たせてんじゃねぇぞオイコラ」
「……これでも急いで来たんだ。途中で三下に絡まれちまってな」
「? あ……?? 銃兎……、……ンだ今の」
「……? なんだ、どうかしたのか?」
「いや、まあ、……なんでもねぇわ。俺の気のせいかもしれねぇ。忘れろ」
 ────俺の気のせいかもしれねぇ、忘れろ、なんて臭い言い訳がすぎる。
 実際のところ、三下とラップバトルになったっつーのはマジなんだろう。銃兎は怪我こそしてないみたいだがスーツに多少の乱れがあるし、それに何より気になるのが
【ああ、久しぶりに左馬刻に会えたな。急いで来た甲斐もある】
 これだ。俺様の耳に、銃兎の声が聞こえてくる。目の前にいる銃兎が言ってるわけじゃないのは明白だ。
「ったく誰かさんが突然電話かけてこなけりゃ……」
云々かんぬん、なんて小言が聞こえる。こっちのチマチマした小言は間違いなくウサちゃんのよく動くお口から出てるわけで。
 じゃあさっきの声は一体なんだ?
「……銃兎、絡まれたって言ってたが」
「ん? ああ、大したこともないチンピラ連中でしたよ。私の邪魔をしてやると大口叩く割に、技術は稚拙で」
「……そーか」
 たしかにこれは、邪魔するって目的は達成されてんのかもしれねぇな。今だって俺様の耳には銃兎の”声”が聞こえている。
【左馬刻は今日も格好いいな】
【なんかキョトンとした顔してる。ふふ、ちょっと可愛いじゃねぇか】
【左馬刻、部屋に一人でいたのか……? だったら良かった。もし部屋に女がいたら、きっと嫉妬しちまうもんな……】
【いくら羨ましがったところで女に勝てるわけねぇのに。ただでさえ左馬刻はモテるのに、そんな男を好きになっちまうなんてな。バカみてぇ……】
 どれも普段の銃兎なら絶対に漏らさないセリフばかりだ。この声はきっと、秘密の声だろう。聞かれたら困る、銃兎の心の中の本音だろう。
可愛いってのは心外だと思うが、格好いい、嫉妬するとか言われても、驚きはなかった。このウサちゃんが俺に惚れてることなんかとっくに気づいてるから、今更驚きなんかしない。銃兎の【好き】に気づいてて一緒に過ごしてる俺だって、銃兎のことは特別に意識してるし他のどの女より惚れ込んでる。誰より一番ってやつだ。そうじゃなきゃ同じチームの男わざわざ抱いたりなんか、するわけねぇだろ。
 でもどうやら銃兎が俺様にバレないようにしたいらしいから、これまではそれに乗ってやってただけで。にしても流石にこれじゃ隠してる意味ねぇけどな。いくらなんでも好きがバレバレすぎるだろ。どうせ違法マイクの効果だろうが、こんなイカれたマイクの効果じゃなくて、いつか銃兎本人の口から俺が好きだって聞きたかったから、少し面白くない。
「急いで飛んできてやったんだ。少しは」
「分ァってるよ。……サンキュな銃兎」
「っ、」
 座っていたソファから立ち上がって、部屋の入り口にいる銃兎に近づく。俺様に【見惚れて】やがるのが手に取るように分かった。こいつ俺のこと余程好きなんだろうな。
【クソ……顔が綺麗すぎんだよ。本当になんでこんなに格好いいんだ。頼むからこれ以上は近づいてほしくないな……】
 へぇ、だったらもっといじめてやりたくなる。わざと距離を詰めて、
「銃兎ぉ。スキ」
「へ、」
「はは、隙だらけの顔してるって言ってんだわ」
「み、耳元で、やめろ……っ!」
 お耳までピンク色に染まってることには気付いてるのかいないのか。ウサギはまだ何か言いたそうに口を開いたが、諦めて閉じた。
【不意打ちでスキとかやめろよ!】
【ドキッとした】
【女にも同じことしてんのかコイツ。スケコマシが】
【サマトキサマは金権力女に酒だもんな】
……ンだよそれ。そりゃ女は勿論嫌いじゃねぇけど、銃兎はそんな次元に置く存在じゃねぇだろ。ウサちゃんは俺様にとって別格だろうが。お気に入りとか通り越して深みに嵌りまくってんのに、どうしてそんな当然のことすら気づかねぇんだろうなこのウサちゃんは。
 周りの人間からエロい目で見られがちで実際セックスするとめちゃくちゃエロい銃兎が、俺に迫られるだけで生娘みたいな反応するんだから、水商売の女にねだられるより、そっちの方が余程イイに決まってる。拝めりゃ最高だろ。こんな銃兎、他のやつには絶対ェ見せたくねぇ。だから俺様が抱く。他に乗り換えようなんて気にさせねぇように、何度も何度も可愛がってイかせてやってんだ。
「雑魚どもにその顔見せたりしてねぇだろうな」
「は……? いや、顔は見られたと思うが元から割れてるし……おいっ、どこ連れてく気だよ!」
「分かってンだろ」
「!? い、嫌だッ、行かねぇ! せ、せめてシャワーくらい浴びさせてくれ! おいっ」
「はっ、ンなもん必要ねぇ。俺様が舐めてやる」
「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!」
 俺が言ったことを冗談だと思ってんのか、銃兎が担ぎ上げられたまま怒鳴る。
「聞けやクソボケ! 嫌だっつってんだろ! 仕事終わって汗かいてんだ、ほんとにやめろ左馬刻……っ!」
【────マジでお前チンコ萎えるぞ!】
「ぷっ、……ふはは、バーカ。萎えるわけねぇだろ」
 むしろ理性がブチ切れそうだ。だって今の【本音】は俺様に嫌われたくねぇって言ってんのと同じだろ。抱きあげられてロクに動けないくせに必死に暴れて抵抗する銃兎。汗臭いだとか、しまいにはチンコ萎えるとか。ここまで来て今更「お前の体臭に萎えた」なんてマジで言うと思ってんのか? 汗だってセックスすりゃどうせ汗かくのに気ィ遣いやがって、でもそういう健気なとこも可愛い。世間からは悪徳警官なんて呼ばれてる銃兎が、そんなこと気にしてるなんて可愛いすぎんだろ。
 なあ、俺が好きかよ銃兎。【汗かいて汚ねぇのに】【左馬刻に触ってほしくない】【クサイとか思われたら死ぬ。立ち直れねぇ】って言ってんのが聞こえる。なんだよ死ぬって。んなこと考えるくらい、俺様のことが好きかよ。好きなら好きって言ってくれても良いじゃねぇか。嫌いになんてならねぇっつーの、バカなウサギだな。
 
 
 三十路手前のオッサンが年下の男にお姫サマ抱っこされてる時点で情けないし恥ずかしいってのに、左馬刻はシャワーも浴びさせてくれない。勘弁してくれ。今日は午前中に巡察で走り回ってたんだぞ。絶対に汗臭いんだ。昼間は梅雨のせいでジメジメして暑かったから余計に。三下と野良バトルやらされたのも間が悪い。
 ベッドに優しく降ろされて、勘違いしそうになる。いっそ乱暴に放り投げてくれよ。それに左馬刻が使ってる寝具だろこれ。意識したら余計に恥ずかしい。なんだか気まずくて身じろぎしてしまう。やっぱり俺、汚いだろうから。左馬刻のベッドを汚したくなかった。
「左馬刻……っ、いい子だから、少し待ってろよ。10分でシャワー浴びて戻って来てやる。な?」
「フン。もう観念しろや銃兎」
────俺様の背中に腕回して「左馬刻サマ好きです」って言えたら許してやってもいいぜ。
言われた要求に息を呑む。なんだそれは。
「……バカか! んなのっ、言えるわけ」
「へぇ、だったら続行だな。このまま俺に抱かれちまえ」
「分からずやか! マジで離せ! もう帰るからなっ!! ボンクラ!! クソボケっ! チンピラヤクザっ!」
【嘘だ。ホントは帰りたくない。俺だって許される限りお前と一緒にいたいし、左馬刻とエッチもしたいのに】
「………くそが…」
「左馬刻……?」
【どうしたんだ……?】
 ぐら……っとするほど目眩を覚えた。お前ってやつはホントに。嘘ってなんだ。ホントはってなんだ。エッチしたいって。キスで唇塞いで、銃兎の文句を聞こえなくさせた。声が聞こえなくたって、聞こえる【声】があるから。
【左馬刻、……好き】
【きもちいい】
【もっとキスしてほしい、……だめか、さっき俺、左馬刻の悪口いっぱい言ったから、してもらえねぇよな】
 ……こいつ、ほんと俺のこと好きだな。さっきまであんなに嫌がってたくせに、ちょっとキスしただけでこの変わりよう。俺が好きだから抵抗できなくて、俺が喜ぶことを必死になって考えてる。こんなの可愛いすぎるだろ。銃兎は本当に可愛い奴だと思う。外面は生意気だし偉そうだけど、根は素直で真面目で優しい奴だ。俺様のことが大好きで仕方ないのに、それを表に出せない不器用さが堪らない。そういうところ全部ひっくるめて愛しく思う。

「なあ、していいだろ……? シャワーなら後で浴びようぜ。一緒に入ろうや」
「うう……俺は、今が良い」
「もうベッドに寝ちまっただろ。汚しても許してやんよ」
「それはお前が転がしたんだ! 汚したってお前のせいだろ!」
「そうだなァ。チンコからビシャビシャに潮吹かせて、お前が気持ちよすぎて泣いちまう程メスイキさせてやるよ」
 いっぱい汚そうな、と耳元で囁いてやる。それだけで肩を震わせて真っ赤になるウサちゃん。耳弱いもんな。かわいい。シャツを脱がせてベルトも緩めて、下着ごとスラックスも脱がせた。全部脱がせる前に、足の付け根辺りに軽く歯を立てて噛んでやった。びくんと腰が跳ね上がる。銃兎は何をしても感じやすい体質で助かるわ。股間に顔を近づけると、ムワリとする雄の匂い。いつもと違う匂いだな。そういや、汗がどうとかって言ってたっけ。
「うぁ! ばか、やめろよ、嗅ぐなって……」
「なんでだよ。興奮する」
【ほんとは嫌なのに我慢してるんだ、左馬刻】
「馬鹿じゃねぇの? ほら、舐めてやるよ。ウサちゃんのチンチン」
「ひっ、ぁあ!!」
じゅるりと音を立てながら先っぽを吸った。ビクビク震えてる。裏筋に沿って舌先で舐めると、頭の上から子犬みたいにくんくん甘い声が漏れてくる。それが嬉しくて夢中になった。先っぽを指で摘んで、根元に鼻を押しつけるようにして舐める。
「いや、それいや、さまとき……っ」
「なんで?」
「はずかしいっ……んなとこ汚いのにぃ」
「分かった分かった、そんなに気になンだったらよ、俺様がお掃除フェラしてやっから。安心しろって♡」
「ぅ、あ……んンッ」
 わざとらしく音を響かせて吸い上げる。チロチロ舌を動かして小刻みに刺激すると、艶々した先っぽからカウパー汁が溢れてきた。すげえエロくて美味いんだけどコレ。もう止まんねーわ。
「さまと、き……だめ……っ」
 銃兎の手が俺様を引き剥がそうとする。そんな弱々しい力で俺を止められるわけねえだろ。竿を扱きながら鈴口に唇を当てて強めにチュウっと吸い上げた。
「ふっ、あっ、んっ!」
 銃兎のチンチンは熱く硬く張り詰めている。
「銃兎、気持ちいいのか? 勃起してんじゃねぇか。溜まってたんだな」
 ふっと息を吹きかけると、大袈裟なくらい身体がビクンとした。わざと匂いを確かめるようにクンクンしてやる。くんくん、すんすん。汗も、銃兎のちんぽの味も、最高に興奮する。嗅がれてることに気づいたウサちゃんが悲鳴を飲み込むような声で喘いだ。
「〜〜っひ、いやだ、左馬刻!! うぅ、そんなとこ、嗅ぐな……!!」
 でも感じてるくせに。変態。ドM。エロ兎。鈴口に爪を立てると、一際高い泣き声が上がる。銃兎が俺の髪を引っ張ってきた。痛いとは思わなかったが、逆らっても無駄だってことを分からせてやらねぇと。そのまま亀頭をパクッと食んで、ちゅうっと吸い上げるようにしながら上下に動かす。
「ぁあっ……くち、くちで、しごかないで、さま」
「俺様のウサちゃんだろ? 言うこと何でも聞いてもらわねぇとな」
「ひぅぅ……っ」
【先っぽと根元、気持ちい……】
【左馬刻にチンコしゃぶられんの好き】
「んっ、ふぅぅ……っ、さまときぃ…、ぁあ……」
「俺様の髪引っ張ってきやがって」
「ごめ、…だって、ぇ、おまえが、へんなとこ嗅ぐから……っ」
「口答えか? ……ンん、しょっぺぇなぁ銃兎のここ……ずっと舐めてると少し苦いけどな。小せぇ穴からくちゅくちゅ垂れてるとこが」
「やだっ、ごめ、……ぅう、もういやだっ……さいあくッ…」
 意地悪したくなって具体的な感想を言ってやると、銃兎の眉が八の字に歪む。怒ってくると思ったが、本当に参っているらしい。そんな顔されたら、余計いじめたくなるだろうが。
【気持ちいい、けど……やっぱり恥ずかしくて無理だ!】
【左馬刻に、洗ってないちんこフェラされるなんて……!】
【次は絶対シャワー浴びてから来よう。フレグランスもつけて……左馬刻のこと好きだし、嫌われたくないから】
 銃兎は時々変なことを考える。俺が銃兎を嫌いになんざなるわけがねぇし、洗ってないチンコだったら俺も前に舐めさせたことあんだろ。あの時の銃兎だって、ちゃんと根本から先っぽまで咥えてぺろぺろちゅうちゅう舐めてくれたじゃねぇか。
『左馬刻のキレイにするから』って言いながら俺のに頬擦りして、あったくて濡れてる舌を出してペロペロしてくれた。
『左馬刻の店の子のほうが上手だろ……?』
そんなことねぇよって、思わず口をついて出たのはすぐにバレる嘘かもしれない。でも銃兎にしてもらうほうが好きだ。裏筋んとこも、亀頭の丸いとこも、そんなとこまでしなくていいのにタマの裏まで、舌先でペロペロして気持ちよくしようと頑張る銃兎が、店の嬢より下だとか、誰が思うんだ。
『んン、ふ、さまとき………俺、うまくできなくてごめんな……ンぅぅ、苦い汁、いっぱい出てきて……さま、おれ、ちゃんときれいにするからな……?』
 ”苦い汁”はそれからも俺のチンコからどんどん溢れてきた。味のせいで舌がぎこちなくなるくせに、それでも吸いついてくれたり、舐めてくれる銃兎が可愛かった。うまさとか求めてねぇんだ、俺は。奉仕してくれてるウサちゃんが健気すぎて胸がきゅんとしたっけ。思い出すと余計に銃兎も銃兎の可愛いチンチンも愛おしくなった。
 今だって、俺は俺の意志で、俺がしたいから銃兎のを舐めて可愛がってやってるのに、嫌いになるわけがない。俺の前で余裕ぶってお綺麗でいようとするのが気に食わなくてこうやって突き崩してやりたくなるが、銃兎のプライドを本気で傷つけたいわけじゃない。
「銃兎から人間くさい味とか匂いとかすんの、悪くねぇ」
「え……?」
「だから余計なこと考えてンじゃねぇって言ってんだよ。汚いとか思ってねぇし俺様が呼んだらすぐ来い」
「……こんな変態じみたことされに来いって、嫌に決まってんだろ」
【嬉しいけど複雑だな……】
 銃兎の消化しきれない呟きが落ちるが無視してやる。ちゅっとリップ音を鳴らしながら先端にキスをした。そのまま唇で挟んで擦り上げるように上下させる。その度にぴゅっぴゅとカウパーが溢れてきた。
「はぁ、あぁっ! ……それだめ、さまときっ!」
「んー……?」
もっとしてやるよ、というふうに鈴口を舌でぐりぐり刺激すると、また一段と大きな喘ぎ声を上げて、腰をくねらせた。
「ぁあ、ッ、さまぁ……!」
足先がぎゅっとシーツを握りしめる。少し可哀想になるが虐めたくなる。女と違って前戯はいらないかもしれない男の身体だが、銃兎が可愛くて仕方ない俺は胸元を探る。右手でまだ柔らかい乳首をくりくり捻るように弄りつつ、左手と口で銃兎のペニスを愛撫する。
【優しく触られるより強くされる方が感じる】
【カリ首とか尿道とか、しつこく責め立てられるとイきそうになる】
【乳首、もっと指の腹で捏ねて……? クリクリして、乳首いじめてほしい……】
 へぇ、いつもヨがってたが、やっぱり好きなんだな。試すように、素直になっている【銃兎】に言われた通りのことをしてやる。乳首を捏ねてやると予想通りの反応が返ってきた。
「あぁッ! ……やっ、そこやだっ、さわんなっ! ひゃっ! やぁ、あんっ♡」
「ウサちゃん、ここ弱ぇもんなぁ? 知ってるぜ。でも今日はやめてやんねぇ。乳首と一緒にしてやっからな」
「やぁっ! やだっばか、さまときっ……ふぁっ♡ はぁっ、ぁん、ぁああっ」
【ダメ、これガマンできない】
【左馬刻におっぱいいじられながらちんこいじられるのやばい】
「ウサちゃんの乳首勃ってんぞ、ほら」
「ぁはぁん……! ぁッ、ぁあ、ぁあっ」
【乳首ひっかかないで……かたくなっちまうよ…】
【気持ちよくて♡ 何も考えられねぇ……♡】
 イキそう、と心の声が訴えてきたところで、ちゅぱっと口を離すと唾液とカウパー液の混ざったものが糸を引いた。エロいなこれ。堪えきれず、ズボンの前を寛げて自分のを取り出した。指を輪っかにして上下させる。
【左馬刻の手って好きだ……なんか俺のと違うよな】
【左馬刻も興奮してくれてるのかな】
【左馬刻のちんぽ勃ってる……うれしい】
【好き】
【好き】
【好き】
【すき】
【だいすき】
────クソッ!! なんなんだよ、これ!
 決して口に出しているわけではない。だがうるさいくらいに好きと言われるたびに、興奮が増幅されていく。クソが。もうヤる。意地でもヤる。今すぐセックスしてぇ。衝動任せにウサギの長い足を割り開く。ローションボトルを手に取り、蓋を開けてから中身を掌にぶちまけた。人肌の温度になるまで手で温める。その間ずっと銃兎の視線を感じていた。期待するような熱っぽい眼差しだった。たっぷり濡らした手を尻の穴に宛てがい、まずは一本、中指から挿れる。ゆっくりと奥へ進めていくと、絡みつくように肉壁が吸い付いてきた。
「! ア……っ」
【左馬刻の指、入ってくる……!】
【ナカ熱い、早くほしい……】
「じゅーと、キツくねぇ?」
「ぅん、ふ、ぁぁん」
 指を動かすたびに銃兎は甘えたような声で鳴いた。その反応を見て指を二本に増やしてさらに激しく動かす。
【そこダメだ、変になりそう】
【きもちいい、もっとして】
「だめ、さまとき……っ、」
「………」
「左馬刻……?」
 指を引き抜くと、物欲しそうな表情を浮かべていた。口ではイヤだとか言うくせに、こっちは正直だよな。本当はしてほしいんだろ? 素直になれって。
【さまときの、ほしい……】
【ちょうだい、いっぱい突いて】
【おねがいだから】
 マジでかわいいなお前。わかったよ。ちゃんとお望み通りくれてやる。続きしような。
「銃兎……?」
「……うう、左馬刻……」
「分ァってる。ホントは嫌じゃねぇんだろ」
「! ……ん、嫌じゃ、ない」
「ならよォ、自分で脚広げてみせろや。出来ンだろ?」
「! ………ほ、ほら……ッはやく、」
「バーカ、もっとだよ。自分で膝持って抱え上げろ」
「……いつもみたいに好きにしたらいいだろっ」
「ア? 誰が腰引けって言った。脚開いて、ウサギの雌穴が俺様によく見えるようにしろ。挿れてやンねぇぞ」
「ぁ、……ぅぅ、……言われた通りするから……もう、へんなこと言わないで……」
【すごく恥ずかしい……けど、左馬刻の命令には逆らえないし従うしかないんだよな】
 羞恥に耐えながら自らM字開脚をする銃兎の姿は最高にそそられた。思わず喉が鳴る。ヒクヒクと収縮を繰り返すソコはもう、受け入れるための器官になっている。ローションを手のひらに追加してから、指三本まとめて突っ込んだ。銃兎の雌穴はぐちゅりと卑猥な音を漏らし、俺の指をすんなり呑み込んでいく。
「左馬刻様にお尻ほぐしてもらえて良かったなぁウサちゃん? ローション垂れてぐちょぐちょじゃねぇか」
「ぅあ……っ、くちゅくちゅほじるの、やめて…」
「銃兎が自分の意志で足おっぴろげてンだろ。俺様のせいにすんのか?」
 バラバラに動かしたり抜き差ししたりしてナカを解していく。次第に銃兎の呼吸が乱れ始めた。息遣いだけじゃない。声にも色が混じり始める。
「は……っ、ぁ、はぁぁ、〜〜ッ!」
 三本の指を前立腺の当たる部分にぴったりと添わせてぐりゅ、と撫でてやると、吐息混じりの高い声で啼いた銃兎の先端からコプコプと先走りが溢れていく。
「さま、ァひっ、ぁん、ぁぁん、アアッ……!」
「おら腰よじらせてどうした? 動くンじゃねぇよ、ウサギマンコ慣らしてやってんだから」
「ひぁっ、ぁあ! ……お前のそれ、ちがう…!」
「ぷっくり膨れてんじゃねぇか」
「ヒ、ン、ぁああ……っ!? ひっ、ぃううぅ、さま、そこは……っ」
 ぐちゅぐちゅと音を立て、繰り返し指を銃兎の前立腺に押し付ける。そのたびにビクビク震えながら喘ぎ声を上げる姿に加虐心がくすぐられる。普段あんなに偉そうにしてる銃兎が俺の前ではこんなふうになるなんて、たまんねぇな。ぎゅっと目を閉じて、だが俺に命令されたせいで抱えた膝を落とすわけにもいかず、弱点を晒し続けている。腰がビクビク震え、瞳の焦点が快楽でブレる。
「ン? どーした銃兎」
「ぁえ、はぁ、ぁあ、そこ♡ っひ♡」
「ここがどうしたんだよ。ずりずり擦られるとナキウサギになっちまう?」
「ぁぐゥぅ♡ ぁああっ……ぅうっ♡ ひぃっ♡……ぁあ、ゆるして、だめ……! さまとき、そこばっか、指で♡ んんッ、はぁ、ぁ、ぁ、おかしくなる……っ」
 必死に訴えてくる銃兎を無視してしつこく責め立てる。触ったばっかりの時とは大違いだな。あの時は気持ちいいって感覚に戸惑っていただろうが、今は指マンされてヨがっている。
【尻なんて弄られても何も感じなかったのに♡】
 素直になれよ銃兎。俺は知ってんだぜ。お前の身体のことなら全部把握済みだ。どこが弱いとか、何が好きなのかとか。
「ウサちゃんここ気持ちいいんだろ。ほら、言ってみろ」
「ゃ、言えな……っ、ぁあん、ぁ、ふ、ぁっ」
「言わないとずっとこのままだぜ」
「ぅんん、ん〜〜っ」
「ほらじゅーと、……聞かせろ」
「ぁぁっ、んぅぅ…き、もちぃ……そこ、さまときのゆび、ァアッ、気持ちいい…ぁあ、さまときっ」
「ハッ……すげぇいい。このままイかせてやるよ」
「ぃ、嫌だ……っ、俺だけイっちまうのは……!」
【左馬刻と、二人で】
【お前といっしょが良い】
【……一緒じゃないと寂しい】
 可愛いこと言ってくれるじゃねぇか。そうだな、一緒に気持ちよくならねぇとな。指の動きを止めてやり、そのまま引き抜いてしまう。銃兎は突然訪れた刺激の喪失感に耐えられず名残惜しそうな顔をしている。先を期待するようにヒクン、ヒクン、と穴の縁が収縮していた。