「左馬刻っ……ダメだ、鍵開けるから待てって……」
「はっ、……そしたらすぐ抱いて良いのか？」
街灯に照らされた桜の花弁が白く浮き出している光景は、春の夜だけの特別だろう。桜は本来薄桃色だが、夜が生じさせる闇と光の所為で、白く淡く光って見えるのだ。しかし、帰宅中にそんなものを楽しむ余裕など全くなかったので夜桜は見損なった。ガラじゃねぇと言いつつ、明日こそは休みだから左馬刻と桜を眺めるのも良いかもしれない。
解錠する前から下腹部を擦り付けるように寄せてくる左馬刻は、どう見ても臨戦体勢だった。今が盛りなのは何も桜にかぎった話ではない。ここが自宅の寸前であることがせめてもの救いだ。
ドアを解錠する。縺れるのも構わず玄関へ引っ張られた。待ち侘びたと言わんばかりの性急なキスを交わしながら、スラックスのベルトを抜き取られてしまう。こんな不躾を許せるのは左馬刻だけだ。他の誰にも許す気はない。唇を離した左馬刻が銃兎のスーツを適当にフローリングへ放り、身に付けた装飾品を外して、ネクタイを緩めていく。その手付きに性欲を煽られ、期待で胸が高鳴る。この先に進むことを、銃兎自身も期待しているのだ。冬の間は気が進まなかったが、春を迎えたヨコハマは夜でも暖かいものだ。
春の夜というのは素晴らしく、その一刻には千金の価値があるという────そして、これから銃兎は左馬刻に抱かれるのだ。
既に幾つも夜を重ねてきたのに、千金の価値を味わうための行為は未だに慣れなかった。恥ずかしいのに気持ち良くて、最後はとろけて訳が分からなくなってしまう。明晰な頭脳は役立たずだ。左馬刻にしがみついて、交歓に浸るだけ。今夜もそうなってしまうんだろうか？
「ぁ……っ」
そう考えただけで、腹の奥がきゅっと切なくなる。”早く欲しい”と浅ましくねだってしまいそうになる自分が恥ずかしい。
「んだよウサちゃんも勃ってんじゃねぇか」
「うぅ……だって……」
下着ごとズボンを下ろされてしまい、既に兆しているそこを見られてしまう。
「何だよ？ 言ってみろよ」
意地悪く微笑む左馬刻だが、目はギラついている。欲情してあまり余裕がない時の顔だと知っていた。そんな目で見られても愛しいと思えてしまうのだから重症だ。
「……言わなくても分かるだろうが！」
「わかんねぇなぁ。銃兎のここなんで腫れちまってんの？ 教えてくれや」
「……左馬刻がすぐ近くにいて、キスなんかされたら、こうなるに決まってんだろ……！」
悔しまぎれに言い放つと、左馬刻は嬉しそうに笑った。
「……なら責任取ってやんねぇとな」
「ぁ……っ」
ちゅぷ、と音を立てて指先が後孔に触れる。そのままつぽつぽと出入りさせれば、すっかり慣らされてしまったそこは簡単に飲み込んでいく。
「はぁ、…うう、んん……」
「濡れ濡れまんこウサギ」
「お前がすぐ突っ込みたがると思って慣らしてやったんだろうが……！」
身体の方は受け入れる準備が出来ていて、内壁を探るようにぐるりと回される指先に腰がくねる。しかし、それだけでは物足りないと身体の方が訴えていた。卑猥なことを言われて意地悪をされても、左馬刻の雄の象徴で満たされたいのだ。太いもので奥まで貫かれたい────もうそんな思考しか出来なくなっているくらいには発情して理性のとろけている自覚がある。ぐちゅぐちゅと卑猥な抽挿の音がする玄関。来訪者の居ない深夜であることだけは運が良かったかもしれないが、
「んアぁっ……！ あっ、あっ……ぁ、アッ、ぁは……♡」
既に柔らかくなっているところ。ヒダを擦りながら前立腺をぐにゅ、ぐにゅ、と指で押し潰されては雌じみた声を上げてしまっても仕方ないだろう。左馬刻が望む通りに快楽を貪ってしまおう。心も身体もすっかり年下の男のお気に召すまま。じゅぽ、じゅぽと雌の穴をほじくられる快楽。左馬刻の手が忙しなく動かされる度に銃兎は身体を震わせて喘ぎ続けるしかない。猥りがましく汁を垂らす陰茎に触れられずとも極まってしまいそうだ。
「…な、さまときぃ……もういいから……はやく♡ はやく、ちんこくれよぉ……」
甘えた声でねだりながら、左馬刻の首に腕を巻き付け、自ら唇を重ねて舌を差し出す。左馬刻との口づけが好きなのだ。銃兎の好きなところを熟知している左馬刻は、上顎の裏側を撫でるように舌でなぞった。ぞくぞくとした快感に襲われる。キスを交わしている最中にも、下着越しに左馬刻の勃起した陰茎を押し付けられている。それがとても嬉しい。
「……ンなに欲しいのか？」
「うん……ほしい、もうほぐれてるからっ」
「パンツ邪魔だわ……脱がせろよ」
「ん……今、するから待って」
ちょい、と下着のゴムをずらした。肉色に艶めく先端の穴とご対面して、生唾を飲み込む。興奮しきった状態ではあるが、万が一にも左馬刻の大切な場所に痛みを与えたりなどしないように────そそり立つ怒張に手を添えて、優しく下着を引き下ろしていく。ぶるんと勢いよく飛び出したペニスは赤黒い血管で脈打ち、幹が腹につきそうなほどだ。尿道口からカウパー汁の粘液を溢れさせていて、この猛々しいものを挿入してもらうのかと思うと背徳的な気持ちになる。
「すごい……左馬刻の、こんなに勃ってる……」
目尻を緩ませて恍惚とした表情を浮かべた銃兎が呟けば「勃起したチンポ見てうっとりしてんじゃねぇよ」なんて文句を言われてしまった。でも仕方ない。これはただの勃起したペニスではなく、惚れ抜いている男の大事な部分なんだから。
「ほらドスケベウサちゃん、俺様の女にしてやっから上に乗れよ」
「ん……っ♡ ん……っ」
女、という表現に胸がきゅんとして息苦しさを覚える。自分はこんなにも浅ましい人間だっただろうか。この瞬間がたまらなくて、左馬刻に跨って身体を沈めていく。ぐ、ぬ……ゆっくり、慎重に。一番太いところが通過する時は身体の力を抜いてやり過ごす。亀頭部分を呑み込んだ後は比較的スムーズだ。体重をかければゆっくりと沈んでいく。その過程ですら左馬刻の熱を感じられて幸せを感じるのだから大概だ。左馬刻の上に座る体勢になれば、自重で自然と奥深くまで挿入ってしまう。結腸の手前まで到達すると、そこで動きを止めた。ここから先は駄目だと自制しているのだ。これ以上は戻れない気がして怖い。
「腰、動かしてみろよ。こうやって」
「ヒぃ……っ♡ ァﾞッ、アア♡」
左馬刻は銃兎の腰を掴むと軽く揺すり始めた。それだけで、気持ち良くなれる場所に当たり始める。
銃兎は甘くぐずついた吐息を漏らしながら、左馬刻にされたように腰を上下させて身体を捩らせた。しかし体勢的には優位を取れているはずなのに、目の前の男に委ねることしか出来ない。指先が悪戯するように乳首を摘まむものだから、背中が反った。
「ひィん……！」
そのまま捏ねくり回されて、ピンピンと硬さを確かめるように親指の腹で往復される。軽く引っ張られた。
「ちくびだめぇ……んんぅ、ひっぱらないで」
うごけない、と泣き言を漏らし、身を引こうとするもしっかりと腰を押さえつけられて逃げ場がない。
「へぇ、動けねぇなら手伝ってやるぜ？」
意地悪そうに瞳を細められる。
「ぁ、やだっ……やだ、」
「もう遅せぇ、よッ！」
尻たぶをバチンと強めに叩かれては、もう駄目だった。
「ンあァ゙…ッ！？ ぁああっ♡ ぁああっ……♡」
瞬発的な熱の刺激で力が抜けてしまい、ずるりと一気に根元まで飲み込んでしまった。途端にびりっと鋭い感覚に襲われ、全身が硬直する。身体の中心を貫くようにして駆け巡るのは、紛れもなく快感だった。
「ア゙ぁっ……たたくの、いだいっ、さまﾞときィﾞ♡♡」
「……はは、お前これ好きだもんなァ、銃兎っ！」
続けざまに尻を打たれる。ばちっ、ばちぃ！ と痛いくらいの強さ。破裂音が鳴るたび、視界に星が散るような錯覚に陥る。脳髄がとろけて馬鹿になってしまうのではないかと思う。
「ァ゙ぁ゙……っ、ひぐぅ゙……！？ 〜〜っ、ッ！！」
打擲されながら、剛直が肉壁を擦り上げていくと頭が真っ白になる。痛みとそれを上回る悦楽に銃兎は咽を仰け反らせながら悲鳴をあげた。視界が白っぽく烟り、身体を支えていたはずの足はがくがく震える。イク、ああ、さまとき、イク、イッちゃう────絶頂の兆しを訴えながら涙を零して絶頂した。
「イって良いとは言ってねぇぞ、ドMウサギ」
「はぁ、あぅ……うぅ……ッ♡ 」
理不尽な叱責ですら悦びに変わる。左馬刻に虐められると、脳髄から幸福物質が分泌されているような気分になるのだ。ふと視線を下に向ければ、左馬刻のヴィンテージシャツが白濁した液体で汚れてしまっていた。
「ごめん、さまとき……服。俺ので汚しちまって……」
本当に申し訳なさそうにしている銃兎の態度は、左馬刻の中の甘やかしたい欲求を満たすのには充分だった。
「気にすんな。どうせお前はこれからもっとグチャグチャにされるんだから……そんなにヨかったのかよ」
愉快げに笑みを深めながら結合部を撫でられた。達したばかりで敏感になっているのに。
「うぅ゙、だめ……いまそこ触んな……」
嫌々と首を横に振るも、左馬刻は執拗に会陰のあたりまで擦ってくる。他人には絶対に触れさせないプライベートな場所を、左馬刻には許してしまう。そこを可愛がられている間、銃兎の口からは意味を成さない母音だけが漏れていた。ふつふつと生まれる情欲が、射精したあとも銃兎を浸していく。そうこうしているうちに左馬刻は突き上げを開始してしまい、
「んん〜ッ！ ン゙っ、やぁ……♡ ぁ、ハァ、ぁあっ♡ ぁあ、アッ、ぁん」
「は、ぁ……すげ、締まる……」
パン、パチュ、と肌がぶつかる音が響く。その度に銃兎はビクビクと感じ入っていた。下から抽挿してやりながら、対面座位になった。距離が近い分、沢山可愛がってやれる。乳輪の周りを強く吸った。舌先を使って先端を舐め回すと、銃兎の反応が顕著になる。ちゅぅ……ぢゅっ！じゅるる…… 卑猥な音を立てて吸い付きながら、もう片方の突起は指で転がす。
「そこ……っ♡ そんな、しないで……あっぁ゙ぁ……♡」
口端からだらだらと唾液が垂れていることにすら気づいていないらしい銃兎に、愛おしさが溢れて止まらなかった。仕事用の七三は乱れて、公的にセットされた面影はない。汗ばむ前髪を指で梳き、耳にかけてやる。額にキスをしてみても足らずに、瞼に、頬に、最後に唇へ。お互いに上唇や下唇を柔らかく食み合い、吸い上げてやる。かわいいウサギだ。左馬刻だけの、かわいいウサギ。唾液を纏った舌を絡ませる。お互いの呼気すら取り入れるようだ。ぢゅる、くちゅ、と緩やかなディープキスに興奮して、海綿体が滾っていく。
「んぅ……ふ、ん」
「っは……ウサちゃんよぉ、俺様のチンポに跨がるだけじゃ許してやんねぇぞ……ぴょんぴょん可愛いく跳ねてみな」
「ん……っ、ぁ♡ ぁ♡ あっあっあ、」
ゆったりしたキスが解かれる。左馬刻の突き上げる律動に合わせて、吐息混じりの喘ぎが感じるままに零れた。左馬刻の雄芯が銃兎の隘路を余計に塞ぎ、圧迫感で苦しい。それでもやめてほしいとは思わなかった。左馬刻のペニスが銃兎の奥の窄まりまで届くたびに、頭がスパークするくらい強い刺激が押し寄せてくる。ぴょんぴょん跳ねて自らの王を愉しませてやりたいのは山々だが、残念ながら余裕がなくてそれどころじゃなかった。銃兎の腰の動きはどんどん鈍くなり、やがて止まってしまう。
「なァに勝手に休んでんだよ」
跨がるだけで精一杯になっている銃兎を咎めるような言葉面だった。けれど、そんな言葉面とは裏腹に優しい手つきで頭を撫でてくれるものだから嬉しくなってしまって、きゅんきゅんとナカが収縮した。
左馬刻も銃兎が嬉しがっているのを感じ取ったようで、笑みを零してから今度は銃兎を押し倒す格好になった。左馬刻が覆い被さると、シャツのはだけた胸板同士がぴったり合わさる。汗ばんで火照る身体から鼓動を感じた。互いの心音を聴き合うように、二人は身体を寄せ合い、しばらくそのまま繋がりあっていた。
「ふ、ふふ……なぁ、さまとき……あつい」
「ア゙？ んなのテメェもだろ……嫌かよ」
「……いやじゃねぇ」
「俺も……好きだぜ」
角度が変わったことで結合部がさらに密着して、ペニスがより深くまで湿地帯に入り込む。
「はぁっ、ンッぁあ……すき、さまとき…っ」
自分では御せない。足を開き、犯されるままにしがみつく。フローリングの硬質さが気になるのだが、今は構っていられない。靴を履いたままの爪先がされるがままに頼りなく揺れているのが視界に入る。もうどこもかしこもグズグズだ。こんなところで、靴も脱がずに、下着だけ下ろされて抱き合っているのだ。そう思うと余計に興奮して、もっと欲しいと思ってしまう。
「ん、ん……っ、ぁあっ！？ そこ、だめぇっ！」
奥まで届きそうになっていた左馬刻の剛直が不意に角度を変えた。上に乗って抽挿していたときはさりげなく避けていた銃兎の弱いところをズリ、ズリッ、とカリ首の返しで擦られてしまう。女泣かせ、という言葉がぴったり嵌るようだ。
「ここだろ……ははッ、きゅうきゅう締めやがって」
「やっ、あぁ……！ だめ、そこはぁ……♡」
ビリビリ痺れるような、淫らな刺激。腰を動かして突き上げられる。ずっぽり嵌まりこんでいるせいで逃げ場がない。
｢相変わらず最高だなァ、ウサちゃんの雌穴は。俺様でしかイけないように形覚えさせてやっからな」
熱っぽく耳元で囁かれ、煽られて。とろとろの雌穴が左馬刻の形を覚えるようにひくついてしまう。粘ついた水音と､肌のぶつかり合う音の間隔が狭くなっていくと、ついに、亀頭の括れ部分が結腸口を通過するのを赦してしまった。
「ひぃ゙っ……ぁ、さまぁ、おぐ、きてゔ……♡」
結腸まで届いている。左馬刻の先端が、銃兎の一番奥へ侵入しようとしてくるのだ。
「ここ、分かるか？ ウサちゃんの大事なトコ」
「はい゙っ……ん、ぁあ、〜〜ッ♡」
「ここで孕むんだぜ。いいな？」
臍の上あたり。薄い腹を撫で､意地の悪い顔で左馬刻が告げる。この腑が実際に孕むことはないけれど、こう言うと銃兎が興奮するのを左馬刻は知っていた。
「ん♡ ナカで、……はらの奥で、左馬刻の出して♡♡」
目の前には、真っ赤な瞳の奥でシアンの灯を揺らめかせる肉食獣の雄。食われる────身構える間もなく細い腰は掴まれ､杭が奥に押し込まれる音がした。ぐぽっ、という音が、
「ぁあ゙あ゙……ッ！？ 〜〜ッかは、ァ゙ぁ、ひぅ、ん゙うう、ーーーーッ！？」
呆気なく暴かれた結腸は銃兎に快楽という名の暴力を叩きつける。チカッチカッと白い閃光が飛び散った。身体が痙攣して止まらない。きゅんきゅん、ちゅうちゅう、左馬刻の雄をしゃぶろうと吸い付いては包みこむ肉壁の蠕動。涙でぐしゃぐしゃに潤む視界。
「特別に、奥、くれてやっから……受け取れや銃兎ッ……」
「待って、さま」
「やめて止めて待ってなんて言われても……だろうが！！」
見上げた左馬刻の唇の端からは、鋭い犬歯が覗いていた。喰らわれると思った時にはもう遅い。ガブリ、と左馬刻の牙が突き立てられた。首筋から毒でも流し込まれたかのように身体が熱くなる。思考力まで溶かされた銃兎は無抵抗のまま左馬刻を受け入れるしかなかった。恐ろしさも感じているのに身体は従順だった。左馬刻を受け入れている膣道は収縮を繰り返し、左馬刻に相応しいオンナとしての絶頂を迎えるために準備を始める。左馬刻が欲しくて堪らない。好きってこんな、だったっけか。銃兎は無意識のうちに両脚を左馬刻の背中に絡めていた。離れないでほしい。赦される限り、左馬刻と繋がっていたい。
「さまとき♡ さまとき……っ♡ すき、すき……♡♡」
「じゅーと、おれさまも、すきだぜ……離してやんねぇ、からな……、」
「ぁあ……っ♡ さまときっ、はぁ、っ、はぁ」
名前を呼び、想いを確かめ合う。それだけで、それこそが、幸福感に満たされる。ずっと、と熱の篭った低い声で囁かれた気がしたが、気がしただけかもしれない。左馬刻が激しくピストンを繰り返し始めると、次第に二人の呼吸は荒くなる。左馬刻の瞳にギラついた雄の光が宿っていて、それが銃兎に向けられているものだと思うと、海より深く満ち足りる思いがした。
「銃兎、じゅーと……おく、出すぞッ」
「ひィﾞィ゙……っ、ぅん、うん、さまときっ♡ さまとき……ッ！♡」
ごちゅっ、ゴチュッ、ごちゅっ。激しく腰を打ち付けられて意識が飛びそうだ。繰り返し与えられる暴力的なまでの快感。狂ってしまう。壊れてしまう。だがそんなのは今更だ、とっくに、堕ちているんだから。
「ぁあぁ……っ……！！！！」
「ン、ァ゙ア、グッ……！」
最奥で弾けた熱い飛沫。どぷっ……と大量のスペルマを受け止める雌の喜びに銃兎は酔い痴れ、再び絶頂する。ぷしゃぁ、ちょろちょろ、ぽたぽた……と温かな潮を噴き溢した。後始末の手間を加味しても余りあるくらい、すさまじい悦楽であった。どぴゅどぴゅとしばらく続いた射精の後、ずるりと抜かれた左馬刻のペニス。雌穴から白く粘ついた液体が糸を引き垂れ流しにされていく。ああ、フローリングが汚れた。潮もびしゃびしゃで、まるでお漏らしでもしたようだ。
しかし、この日はまだ終わらなかった。再び挿入された剛直が銃兎の柔らかな結腸口にくちゅくちゅと甘えはじめる。
「あァっ……なんで、ぇ……！？」
「俺様の可愛いウサちゃん♡ もっと可愛くなろうな♡」
耳元で囁いた左馬刻は、ひどく優しい手つきで銃兎の下腹部を撫でた。
────まったくもう、仕方ねぇなぁ左馬刻様は。
そう思ってしまうのは、左馬刻のことが好きすぎるからだ。誘うように左馬刻を見つめた銃兎は、色めく微笑を浮かべた。お互いに堪能し損ねた今宵の夜桜よりも美しい笑みを。
「……はい♡ さまときさまの可愛いウサちゃんは、×××を××××でいっぱいにしてほしいです♡」
眉目秀麗な45Rabbitの明晰な頭脳は、頭ゆるっゆるなセリフを導き出した。だけどそれも仕方ないことだろう。