せいぜいずっと覚えてやがれ

「銃兎ぉ、昨日……酔っぱらって寝落ちした時に」
「ん?」
「キスしただろ俺。お前に」
「左馬刻……なに言ってんだ。んなことしてねぇよ」
「俺から迫っただろ。隣でウサちゃんが眠そうにしてて、それが可愛くて堪んなくなって食いたくなったんだわ」
「落ち着け! 俺はキスなんかされてねぇよ。お前は何もしてない。安心しろ」
「……嘘つくんじゃねぇよ。前もそうやってはぐらかしやがって」
「左馬刻の勘違いだろ。寝ぼけて変な夢でも見たんじゃねぇか?」

 ああ、まただ。今日もまた、銃兎が俺に嘘をついてきやがる。
 二人で集まってメシ食って宅飲みしてグダグダやってるうちに、銃兎にキスするようになっていた。一度ってわけじゃない。最近は泊まるたびにしてるんだぞ俺は。無防備な銃兎が可愛くて。隣にずっと置きたくて。俺以外見てほしくねぇと思って。それを夢の中の話だと?
 ふざけてんじゃねぇぞ。
 銃兎の唇の柔らかさも、濡れた舌が絡まる感触も、やらしい音も、夢なんかじゃねぇだろ。俺は全部覚えてる。つーか銃兎だって起きてたはずなんだ。
 昨日は「おい誰にキスされてんのか言えよ」「言うまで離してやンねぇぞ」って脅しをかけて、恥ずかしそうに息を上げた銃兎が「左馬刻」「俺が……左馬刻に、キスされてる」ってお利口さんに答えてきたから可愛いすぎて、離してやるどころかそのままグズグズになるまでベロチューかましてやったんだ。舌で銃兎の上顎の粘膜をざらざら擦った時にビクッと反応してきたのも、腰を抱き寄せたら背中にしがみついてきてくれたことも、絶対に忘れねぇ。寝ぼけてなんかねぇし現実だったはずだ。
 なのにどうしてコイツは朝が来るといつもしらばっくれんだよ。俺の名前呼んで、抱きしめ返してきたじゃねぇか。アレは絶対に夢じゃねぇ。それなのに銃兎の野郎は翌朝になると何もなかったって顔でケロッとしていやがる。俺がしたキスを全部なかったことにされる。それが無性に腹立たしくて、悲しかった。なんで俺だけこんな気分にならなきゃいけねぇのかと、イラつきながら煙草を咥えて火をつける。
「……おい、左馬刻?」
「…………」
「げほっ、…なんだよ、ったく!」
 返事の代わりに煙を思い切り吐き出してやった。目の前にいる銃兎の顔が白んで霞む。おうおう、咳き込んでんじゃねぇかクソウサギ、ざまあみろ。忘れるテメェが悪いんだ。そんな言葉を心の中でぶつけて、フンと鼻を鳴らした。
 これから先もずっと銃兎の隣にいるつもりが、今となってはそれだけじゃ足りなくなっていた。もっと一緒にいたいし、同じ時間を過ごしていたいと思う。俺と銃兎の関係はチームメイトで友人。だがそれ以上、もっと深くて近いところに居座りたくて、こんなことまでしている。恋愛感情はテリトリーバトルのチームに必要ないだろう。むしろ枷になる時だってある。だが何でもないフリして無かったことにするには、この感情は根深く育ちすぎていた。これがコイゴコロなんて可愛い色したものなのかといえばどうもしっくりこねぇような気もする。だが銃兎に欲情している自覚はイヤってほどあったし、こうも毎回忘れられると少し落ち込んだ。
 
 
△▼△▼△
 
 
「ん……っ」
 次こそは朝が来たって銃兎に忘れられないキスをしたい。その一心で何度も唇を重ねる。その度に銃兎が吐息交じりの色っぽい声を上げるから、ますます止められなくなった。
 一度目はただ触れるだけの軽いもの。二度目は角度を変えて下唇を食むように。三度目からは舌を入れて、お互いの唾液を交換し合うくらい深い口づけを交わしていた。もう何度繰り返したか分からないほど濃厚なキスを続けているせいか、すっかり抵抗する気力がなくなっているようだった。それでも時折思い出したかのように身体を押し返そうとしてくる。そういう反応されると余計興奮すんだけど分かってねぇんだろうなぁ、と苦笑した。
「さま、とき……」
「あ?」
「ふぅ、…ぁあもう、……だめ…」
「ンでだよ」
「ばかっ、こんなことされてたら眠れねぇんだよ! さまとき……なぁ、俺もう寝るって」
「おう、ベッドに寝かせてやってんだろ。おやすみのチューしてんだよ」
「こんなの全然ちがう……!」
「いいだろ。ウサちゃん明日休みだって言ってたじゃねぇか」
「仕事とかそういう問題じゃねぇ……! 口寂しいならキャンディでも買ってやる、っ!? おい、何」
 なんにも分かってねぇことを言いまくりやがるので口を塞いでやった。今度は最初から舌を絡め取って、歯茎や歯列の裏側を丹念になぞっていく。びくんっ、びくんっ、と跳ね上がる腰を押さえつけながら逃げられないようにする。上側の壁をこの間みたいにザラザラ擦ってやると銃兎の肩が竦まる。銃兎はここが弱いんだよなぁ、知ってるぜ。教えこむように舌を往復させてじっくり責め続けてやったら、
「ァっ、あぁ……ぅぅ、ゃ、そこばっか……!」
とうとう泣きが入った声を出しはじめた。
「やだじゃねぇ。気持ちいだろ、ちゃんと舌出せ」
「うぅ……」
「ン、じゅーと……」
「さぁ、とき……ふ、ンゥ」
 絡めとった舌を撫でて吸ってあやしてやる。銃兎の舌裏に舌を滑りこませて、舌先でくすぐる。しばらくそうやってキスしていると銃兎の瞳はだんだん潤みを帯びてきて、やがてピンク色がじわじわ溶け出して蕩けきった表情になった。そんな顔をされるともう我慢できなくなる。キスするだけじゃ足りねぇって。
「! ぁ、ゃ、さまとき、やめ……ッ」
「嫌なら本気で止めてみろ」
「……ずるい、おまえ」
「ズルくて結構だぜ。俺様は欲しいモンは必ず手に入れる主義だからなァ、覚悟しろよ銃兎ォ」
 ベッドの上は都合が良くて助かるな。そのまま覆いかぶさる。ぎゅう、と目を瞑って震えている姿が可愛かった。首筋に顔を埋めてちゅぅ、と吸い付く。強く吸えば赤い痕がつく。それを更に上書きするようにキスマークを付けていった。俺のものだって証が消えないように何度でもマーキングしておきたかった。銃兎は誰にも渡さねぇ。
「さまと、き……なぁ、そんなにつよく吸ったら……っ」
「痕がついちまうなぁ?」
「分かってんならやめろクソボケ! 俺にこんなことしてどうすんだよ……」
「何もされてませんって言えねぇように証拠残してやんだよ。……夢だとか言われねぇように」
 変な夢でも見たんだろと言って終わらせようとする銃兎が気に食わない。銃兎が何を考えているのか知りたかった。誤魔化し続けるつもりなら、こっちにも考えがあるんだよ。
 忍ばせていたレコーダーを、銃兎に見えるように翳してやった。兎の目が驚きで丸くなる。
「! お前、それ……」
「録音したんだ。ついでに動画にも撮るか? 銃兎が俺様にされてるところ全部データに保存したら信じてくれるか? ……それとも俺のこと嫌いになんのかよ」
「……っ、」
「俺はお前に惚れてる。好きな奴にキスしたり触ったりしたくなるのは当然だろ」
 お前が好きなのに、そういうの全部なかったことにされるんのは、すげぇ寂しい。
本音を告げると、銃兎はハッとしたような顔で俺を見上げてきた。もしかして、いやもしかしなくてもこれは。

「なぁ銃兎……キスしただろ、俺、お前に何回も」
「……されてねぇ」
「絶対ぇしたわ。覚えてんだよ感触とか……テメェとのキス忘れるわけねぇだろ」
 何かを迷っているように視線を彷徨わせ、そして小さな声で諦めたように呟く。
「……ごちゃごちゃ言いやがってこのクソボケが。されてねぇって言ってんだろ……分かれよっ。俺がせっかくなかったことにしてやってるのに」
 ほじくり返すのはやめてほしかったらしい。その方がお互いの為だとか思ってんのかもしれねぇが、ハナから無理な話だ。
「あ゙ぁ!? なかったことにされたくねぇって、俺様がそう言ってんだよ! クソボケはテメェだろうが!」
 ちゅ、と唇を奪う。抵抗する気配はない。むしろ受け入れてくれているような感覚すらした。それが嬉しくて何度もキスをする。ようやく気持ちが伝わったように思えて。

「銃兎は俺が好きじゃねぇのか?」
「………うう」
 往生際の悪い声だった。キレてる時は針葉樹みたいに尖ってる銃兎の瞳がふにゃっと緩い。もう一度ダメ押しでキスをして、俺のこと見ろと強請った。観念したように合わせられた視線の中に、今までずっと見せなかった熱が篭って渦巻いているようだった。
「……俺も、左馬刻のことが好きだった」
「! ……銃兎、」
「ずっと前から、多分出会った時から惹かれるところがあったんだと思う。左馬刻に誘われてチームを組んで、一緒に戦うようになって、もっと……お前って男を知っていくうちに、いつの間にか、俺は……」
 銃兎の口から紡がれる言葉はどれもこれも初めて聞くものだった。まさか両想いだったなんて思いもしなかった。嘘だろ。本当に。銃兎も俺が好きだって。
 信じられなくて固まっていると、銃兎の顔がどんどん赤く染まっていった。耳まで真っ赤にして、恥ずかしそうに俯いて、そして小さく口を開く。
「……もう分かっただろ。忘れたりなんかしないから……消せ、録音データ……恥ずかしいから絶対に聞くなよ」
「お利口さんだなぁ、ウサちゃん」
 やってるとこ録画すんのは今度にしようなと半分は冗談で言ってから、寝巻きにしているTシャツの中に手を突っ込んで脇腹をゆっくり撫で上げる。
「! おい……左馬刻っ」
「じゅーと、我慢できねぇよ俺。……こうしてお前のこと触ってるのなんか、それこそ夢みてぇだ」
「俺なんて、そんな……っ、ン」
「言わせねぇから。黙って俺に愛されとけや」
「……あ、あい……」
 銃兎が目を丸くしている。そんな反応をされると思わなかった。俺をなんだと思ってんだよ。
「悪名高いウサちゃんだろうが。遊びでなんか触らねぇ。分かれよ」
「……悪名高いヤクザに言われたくねぇ」
「ははっ、…好きだぜ銃兎。これからいくらでも言ってやるよ」
「っ、ひゃっ!? ぁ、やめ……!」
 胸元に吸い付いて赤い痕を残す。「いたい」「すわないで」「左馬刻」「バカ」とか聞こえるが全部無視した。感じやすい体質なのか、ちょっと触っただけでぴく、ぴく、と小刻みに身体が跳ね上がっている。その度に綺麗な筋肉のついた胸が上下していて、エロいなと思った。
「ひ……ッ♡」
 指先で乳首を掠めると分かりやすく可愛い悲鳴が上がる。最高だ。もっと虐めて可愛がってやりたい。
「ここか? 好きなの」
「ちが、好きじゃない、やだそんなとこ……ッ」
 真っ赤になって胸を隠そうとするから、両手を掴んで頭上で固定する。恥ずかしそうな表情もよく見えた。不安げに瞳を揺らす銃兎に、大丈夫だ、痛てぇことは絶対しねぇから……と安心させるように額にキスを落とすと、ふっと緊張が解けていくのが分かった。そっと舌を差し入れる。ぎこちなくはあるが、銃兎の方からも応えてくれる。唇を離すと唾液で濡れていて、目元も頬も耳まで赤く染まっていた。
「リンゴうさぎになっちまったな」
「うるせぇよ……もう、あんまり見るな…」
「はは、悪ぃ悪ぃ」
 キスをしながら、軽い力で乳首をくにゅ、くにゅ、と刺激していく。次第にぷっくりと芯を持ってきた乳首を指の腹で転がすと分かりやすく反応した。くにくに弄っているうちにぷっくりし始めた突起を親指で潰したり、紙縒みたいに捻ってやる。敏感な乳首をつまみあげられるたびに、ビクンッビクンッと腰が跳ねあがる。息が乱れるのが堪らない。
「……ん、すげぇかわいいぜ、じゅーと」
「ぁ、んぅ……ッ♡」
 シャツを捲り上げる。薄いココアみたいな色をした可愛い乳首が見える。口に含んで吸い付いてみると、甘ったるい声が上がった。ツンツン尖ってきた可愛いウサギの乳首を舌で舐め転がす。ねっとり舌腹で大きく舐めあげたり、舌先でコロコロとくすぐるように転がす。女よりずっと小粒で、胸も薄いのに、やっぱりエロかった。
「だめだっ……ぁぁ、さまとき……んくうっ、ふ、んふっ」
 舐めくすぐられ、銃兎の全身はますます熟れて赤みを増した。思わず洩らしかけた恥ずかしい声を抑えようとしているが、容赦なんかしてやらない。
そのままもう片方の突起を指で弄ぶと、銃兎は身悶えしながら快感に耐えている。はぁはぁと、さっきより息が荒くなる。
 乳首を舐めながら下肢に手を伸ばすと、すっかり膨らんで窮屈そうだった。
熱を持って硬くなった場所を優しく握り込むと銃兎は腰を引いて逃れようとする。逃げんなって、と囁き布地ごと握りこむように扱きながら、時折先端に爪を立てて刺激してやる。銃兎はびくんっと背中をしならせて仰け反った。
「ッ、ァあ……っ、はぁ、んんぅ……っ♡」
「声我慢すんじゃねぇぞ、銃兎」
「や、さまとき……ッ、はずかし……」
「誰も聞いてねぇよ。俺しか見てないから安心しろ」
「うぁ、あん、あ……っ、だめだって、こんなの、おかしい、っ♡」
「おかしくねぇよ、気持ちいいことしかしてねぇだろ? 素直に受け入れりゃいいんだよ」
「あ、あ、あっ……♡」
「俺のこと好きなら、全部受け入れてくれるよな? 銃兎……」
銃兎は目を瞑ったままこくこくと何度も頷いた。
「パンツの上からじゃもどかしいんじゃねぇか?」
「ひっ!? くぅ……っ」
 カリカリと先端を弱い力で引っかくように擦る。先走り汁で濡れたグレーの下着は色濃くなって、変色していた。
「な、このまま布コキされてイくか? パンツ汚れてぐちゃぐちゃになるぜ」
「いや……っ、左馬刻、おれの……触って……」
 ウサギの翆とピンクが、とろとろに溶け出して混じる。銃兎の下着を全部脱がせて、直接チンコに触れる。もう完全に勃起していた。軽く握って上下に擦ると銃兎は小さく声を上げて喘いだ。気持ち良すぎて泣き出しそうになっている銃兎を見て、愛しさが増していく。銃兎の性器に俺のものを重ねて一緒に扱いてみる。裏筋が合わさるようにぴったりとくっつけて。
「ッ……!? 何、して……ッ」
「兜合わせっつーの? ……気持ちいいだろ」
「うぁ、ぁ、んん……♡ さまときのチンコ熱い……ッ」
「銃兎のもすげぇ熱くてビクビクしてんぞ」
「あ、あ、っ……♡ これ、すごい……っ」
 敏感な亀頭が擦れ合う感覚に銃兎は堪らないといった様子で腰をくねらせた。
「な、気持ちいーだろ」
「うん……っ、きもち、いい……っ、ひ、ぁあああ……ッ! だめぇ、なんかくる……っ」
 裏筋をなぞるようにして扱いたり、亀頭を掌で包み込んでぐりぐり押し潰したり。
「ほら、銃兎もやってみろよ」
銃兎の手を取って重ねる。2本まとめて扱き上げるように促すと、銃兎は戸惑いながらも手を動かし始めた。
「ぁ、あ……っ♡ こすれてる……ッ♡」
「ん、上手だな、ウサちゃん」
「さまときも、気持ちいいか…?」
「あァ、すげぇいい……」
 しばらくすると銃兎の動きが鈍くなり、呼吸が荒くなった。そろそろ限界が近いようだ。同時に加虐心が炙られていく。
「……イきそうか?」
「いく……っ、あ、あ、あっ♡ 出る、出ちゃうぅ……ッ♡」
 銃兎が達する直前で俺は手を止めた。寸止めを食らった銃兎は困惑した表情を浮かべている。
「ゃ、なんで……っ? さまとき、」
「ウサちゃんすぐイっちまうじゃねぇか。せっかく初めてこういうことできんのに……もう少し我慢してくれねぇ?」
「ぅ……わか、った」
 首筋や鎖骨にキスマークをつけて、乳首は銃兎に弄らせて、焦らす。自分で扱こうとしたら止める。同じことをしつこく繰り返させた。

「ん、ふ……左馬刻ぃ」
 俺の手でゆるゆる扱かれながら、銃兎は余裕のない声で「ダメだ……!」「もう、無理……っ」「イかせて」「お願いだから……っ」と懇願してくる。触りたいんだろう。でも、触らせない。たまらなく興奮した。
 銃兎が音を上げるまでひたすら続ける。胸の先を弄くり回す刺激にも耐えられなくなってきたのか、銃兎は腰を揺らして悶えた。
 あぁ、最高だな。
 もっと苛めてやりたくなる。
 銃兎の性器の先端からは先走り汁が溢れ、ぬらぬらと光っていた。カウパーをぐちゅぐちゅと広げるように扱く。びくんと身体を大きく震わせて、銃兎は一際高い声を上げた。鈴口の穴に爪を立ててグリッと穿ってやると銃兎の背中が大きく仰け反った。
「ぁああぁあ……っ♡」
「じゅーと、我慢しろ。乳首だけって言ってんだろ」
「むりぃ……っ、もう、がまんやだ、もう出したい……っ♡」
何度も寸止めされるうちにとうとう耐えきれなくなったのか、目に涙を溜めて銃兎は懇願してきた。
やめて、お願いだからイカせてくれ……と。
「仕方ねぇな……」
耳元に唇を寄せて、囁いてやる。
「俺のこと好きって言えたらイかせてやるよ」
「……ッ♡」
 一瞬目を見開いて驚いた顔をしたが、すぐに蕩けた顔に戻った。羞恥心と快感の間で揺れているのだろう。
銃兎は再び俺の首に腕を回して抱き着いた。
ぎゅっとしがみつくようにして身体を密着させ、耳元で囁かれる。
────すき……♡ さまとき、大好き……っ♡♡

「いい子だなぁ、じゅーと」
 ご褒美だ、と言って思いきり強く擦り上げた。
「や、あっ♡ イク……ッ♡♡ ぅあ、〜〜ッ!!♡♡」
 びくんと腰を突き上げて銃兎は射精した。吐き出された精液がべっとりと白い腹筋の上に飛び散っている。
「あ、あぅ……♡」
「な、今どんな感じなんだ? 教えてくれよ」
「あつくて、じんじんしてる……っ、おなかの奥がきゅってなる……っ♡」
「へぇ……」
 おなかの奥、か。
 銃兎の身体を抱き起こし、向かい合って膝の上に座らせる。銃兎のチンコがちょうど俺の顔の目の前に来るような体勢だ。カウパー汁と精液でぬらぬらと光っているそれをぱくりと口に含む。咥えて強く吸い上げてやると、ヒンヒンと泣き混じりの声が上がった。
「あ゙ぁあ〜っ♡ それだめ、やばい……っ♡ ぁあっ」
 フェラチオを続けながら、もう片方の手で玉袋を揉んでやる。
「ひぎ……っ♡ い、ったばっかりだから♡ さまときっ♡ どっちもしたら、ほんとにだめになる……っ」
「分かった分かった。じゃあ”おなかの奥”の疼いてるところな」
 銃兎の尻の穴を人差し指でつついてみる。
「ぁ、そこ、は……」
「枕借りんぞ」
 返事を聞く前に押し倒していた。腰の下に枕を置いて、弄りやすい体勢にする。ローションを手に取って温めてから穴の周りに塗りつける。ローションと腸液でぐずぐずに蕩かしてやろう。
「あ……っ♡ おしりだめ、ゆび入れちゃぁ……っ、自分でするから、そんなの」
「……ダメなのか? 銃兎がさっき大好きって言ってくれた左馬刻様の指だろ」
「さまとき、の……?」
「おう。……お前が惚れてる男の指だろ」
「ぁ、♡ さまとき……意識しちまう…と、やばい……」
「ひくひくしてンの可愛い。ウサちゃんの気持ちいいとこ探して撫でてやるから……」
「ぁ、んッ……さまとき、すきだ……」
「俺も好きだぜ。ちゃんと息して、力抜いとけ……優しくすっから」
 穴の周りをマッサージするように優しく撫でてから、ゆっくりと中に侵入する。ほぐれたところで抜き挿しを繰り返す。最初は異物を押し出そうと締め付けてきたが、だんだん力が抜けてきて、今では俺の指の動きに合わせて収縮を繰り返していた。
「はぁん、ぁあ、……ふ、さまとき……♡」
 うっとりした声で名前を呼ばれて、思わず生唾を飲み込む。クソ、なんでこいつはこんなにえろいんだ。もっとめちゃくちゃにしてやりたい。でも傷つけたいわけじゃねぇから、ゆっくり慣らしてやらねぇと。指を増やしてさらに拡張する。ナカを探し当てるように動かし、指の腹で軽く押したり、こすったりする。あるところに触れると、銃兎の背中が弓なりに反った。どうやらここが弱いらしい。
「……ッ!?♡ そこぉ……♡」
「見つけたぜ、ウサちゃんの大好きなトコロ」
「ぁ、あ~……ッ♡」
 トン、トン、と一定のリズムでゆっくり叩いてやる。その度に身体が跳ね上がって、無意識のうちに腰が揺れていた。もう銃兎のものは完勃ちしている。触ってほしいのか、ゆらゆらと誘うように動いているのがエロくて、つい悪戯心が芽生えてしまう。左手で銃兎のものを握りこんで、上下に擦った。後ろの快感と前の直接的な刺激に、銃兎は涙目になって喘ぐ。
「あぁっ♡ はぁ、ぁんっ、そんな、いっしょにしたら♡ いっち、まうからぁ……ッ♡」
「ダメだ、まだイかせねぇよ」
「ぁ、ぁ、ごめんなさい……ッ♡」
 謝りながらも、腰は止まらない。ビクビクと震えている。ゆっくり押し上げていた前立腺をさっきより強くぐりぐり押し潰すと一際高い声を上げた。尻のナカでぐちゅ、くちゅ、と水音がする。銃兎は甘い声で鳴いた。
「ナカぐちゅぐちゅ、やぁ♡ ちんこあついの♡ おしりもきもちい、両方されたらおかしくなるぅ……ッ♡」
「我慢できねぇ?」
「できなぃ、もうできない♡ おねがい、許して、ゆるして……ッ♡」
「ここでヨくなれ。覚えろよ」
「ひいッ、ぁ、アァッ! 〜〜ッひ、ぅん…ぁぁ♡」
 射精の方は上手く出来なかったのか、トロトロと少しずつ出てくるだけだ。前立腺の刺激で達してしまったらしく、全身を痙攣させて悶えている。きゅうきゅう締めつけてくるナカから指を引き抜くと、肉色の狭い穴がヒクついて寂しそうにしている。また指を突っ込んでかき回したくなる衝動を抑え、代わりにキスをした。舌を絡め合ううちに銃兎のピンク色の瞳がとろんとしてくる。
「んっ、はぁ、さまとき……、」
「なんだ?」
「もう欲しい……お前が、ほしい」
「……俺も限界」
 ズボンと下着を脱いで、痛いくらい勃ちきって張り詰めたチンコにゴムをつける。先端をあてがうと、銃兎が尻たぶに手をかけ、自分の指でそこを拡げてみせた。雌みたいに濡れて柔らかくなった穴。ヒダが捲れて真っ赤な粘膜が見えている。無防備でいやらしい絶景だった。
「んふふ、おいで♡ 左馬刻……」
「煽んじゃねぇわ……」
 誘われるがまま、ゆっくり挿入していく。熱い肉壁に包み込まれて、ここが銃兎のナカなんだと意識すれば正直それだけで達してしまいそうだ。奥まで入ったところで一旦動きを止める。銃兎は呼吸を整えながら、物欲しげに見つめてきた。汗ばんだ額に張り付いた前髪をそっと払ってやる。
「痛くねぇか?」
「ん……へ、いきだ。動いていいぞ……」
「苦しくねぇのかよ」
 銃兎の頬を撫でると、すり寄ってくる。かわいいけどやっぱり辛そうな顔をしてやがる。初めてだから当然だ。俺は、銃兎には気持ちよくなってほしいんだよ。好きなやつを抱いてるのに何も無かったことになんか絶対されたくねぇし俺とセックスすんの気持ちいいって思ってもらいてぇし、また銃兎と抱き合いたい。
 初めてだし、挿れたからってすぐ腰振ったりしたら壊しちまうかもしれねぇ。馴染ませてやろうとしばらく動かないでいると、焦れたのか銃兎がもじもじ腰を振ってくる。
「さまとき、さまとき……♡ はやく……♡」
「……ッ! おい、じゅうと」
「ん、ふ……♡ さまときのカタチ、たくさん覚えたいから……♡」
「……ッ!」
 銃兎のバカ。手加減なんてしてやれなくなっちまう。腰を引いてから一気に打ち付けた。ぱんっ、と肌がぶつかる音と共に銃兎の口から悲鳴じみた声が上がった。
「あぁぁぁッ!?♡ ひ、いぃぃ……ッ♡」
「はぁ、はぁ、くそ……ッ」
「あぁ♡ あぁ♡ すごい、深い……ッ♡」
 打ち付ける。腰を引くたびに絡みついてきて離さないとばかりに強く締め付けてくる。銃兎が気持ち良さそうで嬉しい。もっと気持ちよくして、俺から離れられないようにしたい。前立腺を狙って腹側を擦ると、銃兎は身体を大きく仰け反らせた。喉仏が露になって、その色っぽさに思わず噛みつきたい衝動に襲われる。歯を立てすぎないように気をつけながら噛んだ。すると、銃兎は甘えるように俺の頭を抱き寄せた。
「さまとき……っ♡」
「……てめぇ、喉は急所だろ……もっと嫌がれよ」
「ん……だって」
「ンだよウサちゃん」
「だってお前は、俺の特別だろ」
「……おう」
 銃兎の心臓の音がする。ドクドク早鐘を打っていて、俺と同じだ。銃兎も、俺を好きなんだ。改めてそう思ったら胸の奥がきゅぅ、となった。俺の気持ちに応えてくれたことが嬉しくて、愛おしくて堪らない。好きだ、銃兎が。心の底から大好きだ。離れたくない。離してなんかやらねぇ。繋がってる柔らかいところは俺のカタチに馴染んで、大好きな銃兎とひとつになれたみたいだった。
「好き……♡」
「……ッ! クソ」
 このタイミングで言うのかよ。俺も好きだしもう優しくなんてしてやれない。腰を思いきり突き上げた。
結合部から泡立ったローションが溢れ出る。激しい抽挿に銃兎はされるがままになっている。快楽に耐えているのか、シーツを握りしめていた。
 ぐちゅ、じゅぷ、ずぶ、と水音が響く。銃兎のチンコも勃ち上がっていて、今にも射精しそうだ。玉をふにふに揉んだり竿を扱いて刺激する。
「ぁああッ♡ ちんこ、ダメ……だめだ……♡ いく、いっちゃう……!!」
「いいぜ、じゅーと」
 ミルクを出し損ねたチンコの先っぽをくちょくちょ弄ってやる。銃兎は目をぎゅっと閉じながらびくん、と大きく震えた。
「ぁ……! ぁぁっ、ぁあっ、あッ」
「イくとこ俺様に見せな」
「ぃ、イ……っくぅ〜〜……ッ!!♡♡」
「ッ!」
 途端にキツく締まった。搾り取られるような感覚に危うく持っていかれそうになる。イくところを見られた恥ずかしさもあるのか、銃兎のナカが息を上げるたびにひくんひくん痙攣していた。精液はどろりと濃くて量が多い。余韻に浸ってるのか焦点が定まってない銃兎は、まだ小さく喘いでいた。
 かわいい。かわいすぎる。こんなの我慢できるわけねぇだろ。
 銃兎の膝裏を持って脚を持ち上げる。折り畳むようにして上から押し込むと、より深くまで挿入った。そのまま何度もノックするように突く。
「あぁあっ、♡ 深……ぃいいっ♡」
「上手にイけたじゃねぇか、じゅーと♡」
「うっ、ううっ♡ きもちい……♡ 〜〜っ♡」
「もう少し俺に付き合えよ」
「んっ♡ んっ♡」
キスをする。舌を入れて絡ませると銃兎もそれに応えてくれて、お互いの唾液を交換し合った。
「んっ、ふ♡ んん……」
「……っは」
 唇を離すと銀の糸が伝う。銃兎の顔を見るとトロけきった顔をして、口元からは飲みこみ損ねた唾液が垂れている。もっとめちゃくちゃにしてやりたくなって、今度は激しくピストンを繰り返した。
 肌と肌が激しくぶつかり合う音と結合部からの水音が部屋に響き渡る。銃兎はもう限界が近いようで、身体中を真っ赤にしながら涙を流して善がっていた。
「あぁっ♡ 激し……ッ♡ だめぇ♡」
「あ? ダメなわけねぇだろ、が! 好きなクセに……」
「ヒィ!? やらぁ……それだめぇ゙……いぐ、またイクぅ……っ!!」
「へぇ……”コレ”されるの好きか? じゅーと」
 前立腺をカリ首の返しで引っ掻くように腰を動かすと銃兎は咽ぶように喘いだ。
「すきっ、すきっそこぉ、んぁあ……!」
「ここだろ?」
「ァア……ッ!」
「ッ、はぁ……すげぇ締め付けてくるぜ」
「だめ、ぇ♡ いってるのに……ぃい♡ そんなされたら死んじゃ……あぁあッ!!」
「あぁ……死ぬほど気持ち良くさせてやンよ……ッ!」
 腰を打ち付けるスピードを上げていく。パンッ、パンッ!と肉同士がぶつかる音が速くなり、銃兎は泣きながら感じ入っている。
「あぁあッ♡だめッ♡ おかしくなる……ッ!!♡」
「なれよ……っ!」
 ビクビク身体が跳ねて、ナカはきゅうんと強く締め付けてくる。イッたばかりのチンコからだらだらと精液が流れていた。
「ヒィん……! ん、でぅ♡ んああぁ……っ♡」
「ハッ、すげぇ……また出てんぞ、銃兎の」
「ぁあっ♡ ぁん、はぁ……♡ さまときぃ♡ 好き、おれ、大好き……♡」
「たりめぇだろッ……俺もすげぇ、好きだぜ」
 銃兎の全部がほしい。俺だけが味わいたい。奥の奥まで挿入りこんで射精した。出されてる最中も俺の背中にしがみついて甘い声を漏らしている銃兎が、全身で俺を好きだって言ってくれてるみたいだった。だが、最後まできっちり受け止めてくれた銃兎の腰はすっかり震えている。無理させちまったかもしれねぇなと思いながら、汗まみれになっている身体を抱きしめた。額に張り付いた髪を払ってやる。目が合って、それだけのことでお互いに笑った。ラップバトルしてる時とは違う高揚感だが、それでも、お互いに必死すぎ、みてぇな。
「じゅーと……おつかれさん。ありがとな」
「……お前、こんなことして知らねぇからな」
「ア……? どういう意味だよ」
「忘れられなくなっちまう」
 諦めたように呟いて、銃兎は俺の首に腕を回してきた。そのまま引き寄せられてもう何度目にもなるキスをする。銃兎からキスされたのが嬉しくて、貪るように舌を絡ませ合った。
 
 
 
 次にお互い目を覚ました時にはもうとっくに昼過ぎになっていた。銃兎はぐちゃぐちゃになったシーツにくるまったまま、隣にいる俺をじっとり睨む。
「ンだよ銃兎……? ゴム付けたけどもし腹痛てぇとかあんなら俺が」
「そうじゃねぇ! クソほど腰が痛てぇんだよ……!」
「ははっ、……そーかそーか」
 いつもよりざらついた声の文句に思わず笑う。ああそうかよ銃兎、もう忘れたとは言わねぇんだな。責任持って俺様が一生大事にしてやるから忘れんなよ。